ある日の午後、穏やかな陽ざしが差し込むヒヨコ三兄弟の家では、ぴもんくんがまたしても大好きなフィッシュアーモンドに夢中になっていました。
「こんなにおいしいんだから、止められるわけがないピヨ!」
次から次へと口に運び、気づけば山盛りのお皿も空っぽ。
ところが、ふとした瞬間――ぴもんくんの体がぐんぐんと膨らみ始めたのです!
「うう、お腹いっぱいピヨ……でも、まだ何か食べたいピヨ……」
気づけば、ぴもんくんは普段の何倍もの大きさに巨大化!
しかも、空腹感と膨張感のせいで目がトロンとして、我を忘れてしまいました。
その視線が、たまたま隣でのんびりしていたヒヨコくんに向けられます。
「チラッ……おいしそうピヨ……」
「えっ!?ま、まさかボクを食べようとしてるピヨ!?そんな目で見ないでピヨ!」
ぴもんくんはフラフラとヒヨコくんに近づいてきます。巨大化した影がどんどん迫り、ヒヨコくんは大パニック!
「た、助けてピヨ――!」
全速力で逃げ出すヒヨコくん。しかし、ぴもんくんの大きな体と力強い足音がすぐ後ろから追いかけてきます。
必死で逃げたヒヨコくんは、家の隅で本を読んでいたひよたくんの元に駆け込みます。
「ひよたくん、助けてピヨ!ぴもんくんが巨大化して、ボクを食べようとしてるピヨ!」
驚いたひよたくんですが、すぐに冷静に状況を把握します。
「大丈夫ピヨ、落ち着いて。ボクにいい作戦があるピヨ。」
そう言うと、ひよたくんはどこからともなく「バイオエキス」を取り出しました。
このエキスは、巨大化したものを元のサイズに戻す特別な薬だったのです。
「このエキスを少しだけフィッシュアーモンドにかけて、ぴもんくんに食べさせるピヨ!」
ヒヨコくんとひよたくんは協力してエキス入りのフィッシュアーモンドを用意します。しかし、巨大化したぴもんくんは完全に食欲の怪物状態。
「おいしそうピヨ……もっと欲しいピヨ……」
近づいてくるぴもんくんに、ヒヨコくんは震えながらもおとり役を買って出ます。
「ほらピヨ!これを食べるピヨ!」
ぴもんくんは目を輝かせ、「パクッ!」と一口で食べました。その瞬間――
みるみるうちにぴもんくんの体が縮み始め、元のサイズに戻ります。そして、意識もはっきりとしてきました。
「あれ?ボク、なんでこんなところにいるピヨ?」
キョトンとするぴもんくんを見て、ヒヨコくんとひよたくんは思わず顔を見合わせて安堵の笑みを浮かべます。
「ぴもんくん、食べすぎには気をつけるピヨ!」
ひよたくんが優しく注意すると、ぴもんくんはしょんぼりしながら答えます。
「うん、ボクもう反省したピヨ……」
その後、三兄弟は仲良く家路につきました。ぴもんくんもフィッシュアーモンドを少し控えめにすることを心に誓いました……たぶん?
こうして、ぴもんくんの巨大化騒動はひよたくんの冷静な判断で無事解決。三兄弟の絆がまた少し深まる一日となりました。
おしまい
※タイトルのイラストは、お腹を空かせて、我を忘れてしまったぴもんくんに追われて状態で逃げ惑うヒヨコくんの図.