ある寒い冬の日、ヒヨコ三兄弟は家の中で遊んでいました。
「ひよたくん、そこの本取ってピヨ!」とヒヨコくんがひよたくんに頼みます。
「はい、どうぞピヨ」とひよたくんが本を渡した瞬間――
「パチッ!」
「わっ!いたいピヨ!」とヒヨコくんが思わず手を引っ込めます。
「わっ、なにピヨ?」とひよたくんが驚いていると、今度はぴもんくんが毛布にくるまって動き始めます。
「ボク、寒いからぬくぬくしてるピヨ~……あっ!パチッ!イタッ!」
三兄弟が目を見合わせて、全員で「な、なんだ今のピヨ!?」とびっくりして目をまん丸にします。
三兄弟はヒヨコママに相談します。
「ママ~!なんか変な音と痛いのがあったピヨ!」
「それはきっと静電気よ」とヒヨコママが説明してくれます。
「静電気ってなにピヨ?」とヒヨコくんが首をかしげます。
「冬は空気が乾燥してるから、体や物に電気がたまるのよ。それが放電するとパチッてなるの」
「えぇ~!? ボクたちの体に電気がたまってるピヨ!?」とぴもんくんがさらに驚きます。
三兄弟は「静電気に勝つ作戦」を立てることにしました。
1. ぴもんくんの提案:「フィッシュアーモンドを食べたら直るかもピヨ!」
→ みんなで食べたけれど、効果はナシ。ただお腹がいっぱいになっただけでした。
2. ひよたくんの提案:「加湿器を使ったらいいんじゃないピヨ?」
→ 部屋に加湿器をつけたら少し湿気が増え、パチッが減った気がしました!
3. ヒヨコくんの提案:「外に出て思いっきり走ったら電気が逃げるピヨ!」
→ 外に出て駆け回ったものの、次に毛布にくるまったらまたパチッ!痛いピヨ。これもイマイチ……。
あれこれ試した三兄弟は、最終的にヒヨコパパのアドバイスを取り入れました。
「服を柔軟剤で洗うと静電気が起きにくいぞ」と聞き、ヒヨコママが早速洗濯してくれたのです。
さらに、ヒヨコ三兄弟は遊ぶ前に手を濡れタオルで少し拭いたり、毛布に触るときに金属のスプーンで触れてみたりするようになりました。
それでもたまには……
対策のおかげで静電気の「パチッ」は減りましたが、たまに忘れてパチッとなることも。
そのたびに三兄弟は目を丸くして、「痛いピヨ!」と笑い合います。
「静電気は痛いけど、冬の思い出として楽しむピヨ!」とヒヨコくんが言うと、みんなで「ピヨピヨ!」と笑い声を響かせるのでした。
おしまい
※タイトルのイラストは、静電気に驚くヒヨコ三兄弟です。真ん中のヒヨコくんの頭上に雷のようなものが飛び、ぴもんくんとひよたくんがアセアセしています。