まだ朝日が昇る前の、静かな時間。外では小鳥たちがさえずり始め、優しい風がそっと吹いていました。
ヒヨコママは、温めていた三つのたまごを見つめながら、胸をときめかせていました。
「もうすぐ、この子たちに会える…!」
ヒヨコパパはまだ海外にいて、今まさに急いで飛行機に乗っているころです。
「間に合うといいな…!」と、ヒヨコママはそっと願いました。
そのとき——
「ピキ…ピキピキ…」
一番大きなたまごから、小さなひび割れる音が聞こえました。
次の瞬間、「ポンッ!」と勢いよく殻が割れ、黄色いヒヨコが元気いっぱいに飛び出してきました。
「ピヨ!ボク、ヒヨコくんでちゅピヨ!」
くりくりの黒い目を輝かせ、まるでずっと前からこの世界を知っていたかのように、ヒヨコくんは胸を張ります。
その姿を見て、ヒヨコママは思わず笑顔になりました。
「まぁ!なんて元気な子なの!」
すると、今度はもう一つのたまごが、のんびりとゴトンゴトンと揺れはじめました。
ゆっくり、ゆっくりと殻が崩れていき——
「ぽろっ…ぱきっ…ポコン!」
二番目に生まれたのは、ふっくらしたヒヨコでした。
「……ふわぁ……ボク、ぴもんくんでちゅピヨ…」
目をこすりながら、大きなあくびをひとつ。
まだ生まれたばかりなのに、なんだかすでに眠たそうです。
ところが、お腹がぐぅ〜っと鳴ると、ヒヨコママはくすっと微笑みました。
「食いしん坊さんね」

そして、最後のたまごが控えめに、コツンコツンと揺れ始めました。
慎重に、そっと、ぱり…ぱり…と殻が割れていき——
「ポンッ!」
三番目に生まれたのは、一番小さなヒヨコでした。
「ピヨ…ボク、ひよたくんでちゅピヨ…」
小さな羽をぱたぱたと動かしながら、ヒヨコママをじっと見つめます。
その可愛らしい姿に、ヒヨコママはそっと優しく抱きしめました。
「みんな、ようこそ!私のかわいい三兄弟!」
そのとき——
「バタバタバタッ!」
玄関の扉が勢いよく開き、ヒヨコパパが息を切らしながら駆け込んできました。
「間に合ったーーー!!!」
ヒヨコパパは飛行機を降りてから、全速力で帰ってきたのです。
汗をかきながらも、ヒヨコママと三羽のヒヨコたちを見つめ、満面の笑みを浮かべました。
「なんてかわいいんだ!みんな元気に生まれてきてくれて、本当にありがとう!」
ヒヨコパパはそっと三兄弟を撫で、ヒヨコママを優しく抱きしめました。
こうして、ヒヨコくん、ぴもんくん、ひよたくんのヒヨコ三兄弟は、たくさんの愛に包まれながら、生まれたのでした。
※タイトルのイラストには、生まれたてのヒヨコ三兄弟が描かれています。卵のカラから顔を出し、まん丸お目目と小さな嘴がとてもキュートです。
おしまい!