ある日の午後、ヒヨコ三兄弟はリビングでのんびり過ごしていました。ひよたくんは絵本を読んでいて、ぴもんくんはフィッシュアーモンドをつまみながらテレビを見ています。
そんな中、ヒヨコくんは突然、鏡の前に立ちました。
「ボク、カッコよくウインクできるようになりたいピヨ!」
ヒヨコくんは鏡に向かって片目を閉じようとします。
「えいっ!」
しかし、うまく片目だけ閉じられず、両目がパチクリ!
「おかしいピヨ…。片目だけ閉じるってどうするピヨ?」

その様子を見ていたひよたくんがアドバイスします。
「片目だけ力を入れてみるピヨ。でも顔を全部使っちゃダメピヨよ。」
「なるほどピヨ!」とヒヨコくん。
再び挑戦してみると…
「うっ!」
片目だけ閉じたつもりが、口も一緒に「への字」に曲がり、なんとも言えない変顔に!

そのとき、テレビを見ていたぴもんくんがのんびりと振り向きました。
「そんなに難しく考えなくてもいいピヨ~。目をゆっくり閉じてみるピヨ。」
「ゆっくり閉じるピヨね!」とヒヨコくんは納得して再挑戦。
今度は目を閉じ始めましたが…ゆっくりしすぎて両目を完全に閉じてしまいます。
「それじゃただの眠たい顔ピヨ~!」とぴもんくんが大笑い。

ヒヨコくんはちょっと恥ずかしくなり、鏡をパタパタと羽で隠します。
「うぅ…やっぱりウインクって難しいピヨ…。」
すると、ひよたくんが絵本を閉じて言いました。
「ボクも一緒に練習するピヨ!ぴもんくんもやってみるピヨ!」
「えー、ボクはフィッシュアーモンド食べてるピヨよ…」と言いながらも、ぴもんくんも参加。
三兄弟で鏡に向かってウインクの練習を始めます。
ひよたくんは少し上手にできて、「こういう感じピヨね!」とコツを見つけました。
ぴもんくんは「カリカリに焼けたフィッシュアーモンドを思い浮かべて…」と何とか片目を閉じましたが、すぐに目が泳ぎます。
ヒヨコくんは相変わらず両目をパチクリさせたり、顔がくしゃくしゃになったり…。
「これ、難しすぎるピヨ~!」
結果は…?
練習に疲れたヒヨコくんが、ため息をついて言いました。
「やっぱりボクにはウインクは向いてないピヨ…。でも、一つわかったピヨ。」
「何がわかったピヨ?」とひよたくん。
「ボクにはボクらしい笑顔があるピヨ!ウインクしなくても、カッコよくて楽しいのが一番ピヨ!」
それを聞いてぴもんくんが頷きます。
「そうピヨ!ボクもフィッシュアーモンドがあれば何でも幸せピヨ~!」
三兄弟は顔を見合わせて笑い合いました。
ヒヨコくんは鏡の前で笑顔を作りながら、「これがボクの必殺技ピヨ!」とウインクよりも輝く笑顔を披露しました。
おしまい。
