ある日の午後、ヒヨコくんは庭で遊んでいました。
木の枝を使って作った自作のパチンコを手に、的を次々に撃ち抜いていきます。
「見て見てピヨ! ボク、すごく上手だよ!」
的に命中するたびに、ヒヨコくんは胸を張って得意気。
ぴもんくんも拍手をして「ほんとにすごいピヨ~。ボクにはとてもできないピヨ」と感心します。
ひよたくんも「お兄ちゃん、練習した成果だねピヨ」と微笑みました。
ところが、そこにピヨちゃんがやってきて、同じパチンコを手にしました。
「ちょっと貸してもらえる? わたしもやってみるピヨ」
ピヨちゃんが狙いを定めると、ヒヨコくんよりもずっと遠くの小さな葉っぱを、見事に一発で撃ち抜いてしまいました。
「えっ!? ボクより遠くて小さいのに…当たっちゃったピヨ!?」
ヒヨコくんは目を丸くしました。
ピヨちゃんはにっこり笑って「うまい人はたくさんいるものよ。だからこそ、もっと練習したくなるんだピヨ」と言いました。
ヒヨコくんは少ししょんぼりしながらも、やがてにっこり笑いました。
「なるほどピヨ! ボク、まだまだ伸びしろいっぱいだピヨ!」
そうして、また一生懸命に練習を始めたのでした。
ことばのおくりもの
自分の力に酔うと、そこで歩みは止まる。
上には上がいることを知れば、前へ進む力になる。
