ある日、ヒヨコ三兄弟は、森のはずれで困っているリスに出会いました。
リスは大きな荷物を持っていて、どうにも動かせない様子です。
「ボクたちが手伝うピヨ!」とヒヨコくん。
「うん、これならおいしいフィッシュアーモンドを食べる時みたいに力を合わせられるピヨ!」とぴもんくん。
「気をつけて、バランスを崩さないように運ぼうピヨ」とひよたくん。
三兄弟は力を合わせて、リスの荷物をおうちまで運んであげました。
ところが、リスはお礼を言うこともなく、さっさと家の中へ入ってしまったのです。
ヒヨコくんは「え?ありがとうって言わないピヨ?」とぽかん。
ぴもんくんも「がんばったのに、ちょっぴりさみしいピヨ」としょんぼり。
ひよたくんは静かに「お礼を期待したわけじゃないけど、やっぱり気持ちを伝えるのは大切ピヨ」とつぶやきました。
数日後、別の場所で今度はウサギのベルちゃんが重たいカゴを運んでいるのを見つけます。
三兄弟は迷わず駆け寄り、また力を合わせてお手伝いしました。
するとベルちゃんは、にっこり笑って「ほんとうにありがとう。みんなのおかげで助かったわ」と心から感謝を伝えてくれました。
その笑顔と温かい言葉に、三兄弟の心はぱっと明るくなりました。
「やっぱり『ありがとう』って、魔法みたいに気持ちを元気にしてくれるピヨ!」とヒヨコくんは嬉しそうに言いました。
📝ことばのおくりもの
どんなに優しい心を持つ人でも、感謝のない態度を続けて受ければ、その思いやりは次第にしぼんでしまいます。
「ありがとう」という一言には、人の心を潤し、温かなつながりを育む力があります。
与えられた優しさに気づき、それを大切に受け取る心を忘れないようにしましょう。
