ある日の午後、ヒヨコ三兄弟は庭でおやつを食べながら、何やらもめていました。
「ぴもんくん、ボクの分のフィッシュアーモンド、ちゃんと残してあるピヨよね?」
ヒヨコくんがじっと見つめると、ぴもんくんはもぐもぐしながら首をかしげました。
「え? なんのことピヨ?」
ひよたくんが慌てて間に入ります。
「ヒヨコくん、ちゃんと“残しておいて”って言ったの?」
「言ってないピヨけど……見ればわかるピヨ! ボク、食べたそうにしてたピヨ!」
ぴもんくんはしょんぼり。
「そんなのわからないピヨ……ボク、ヒヨコくんがもういらないのかと思ったピヨ……」
その瞬間、ヒヨコくんの心にチクリと痛みが走りました。
自分の中では「当然」だと思っていた気持ちが、相手には届いていなかった。
察してもらおうとするだけでは、優しさは伝わらないのだと気づいたのです。
「ごめんピヨ、ボク、ちゃんと“残してほしい”って言えばよかったピヨ。」
ヒヨコくんがそう言うと、ぴもんくんはにっこり笑いました。
「うん! 次はちゃんと半分こしようピヨ!」
ひよたくんもほっと一息。
言葉にした瞬間、すれ違いの霧が晴れていくようでした。
📝ことばのおくりもの
思いを胸にしまったままでは、相手には伝わりません。
「察してほしい」と願うだけでは、知らぬ間に誰かを傷つけてしまうこともあります。
だからこそ、優しく、正直に、言葉で伝えましょう。
意志を語ることは、相手を動かすためではなく――
心と心をつなぐための、最初の一歩なのです。
