[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第22話「こころの嵐のなかで」

ひよこものがたり

ある日の午後、ヒヨコ三兄弟は、森の広場でボール遊びをしていました。

青い空に、ぽっかり白い雲。みんな笑顔で転がしていたそのとき――

「それっ!」とヒヨコくんが勢いよく投げたボールが、

ひよたくんの胸の辺りに“ぽすん”と当たってしまいました。

「……いたいピヨ。」

ひよたくんは一瞬、目を伏せました。

胸の奥に、ちょっとした痛みと、ぐらりとした感情の波が立ちました。

――なんで強く投げたの?

――ちゃんと気をつけてほしかったピヨ。

でも、すぐにその波を見つめて、ひよたくんは深呼吸をしました。

「だいじょうぶピヨ。きっと手が滑っただけピヨ。」

その声は、やさしく穏やか。

内側で小さな嵐が吹いていても、

外に見せず、静けさをまとったひよたくんの姿に、ぴもんくんは思わず「すごいピヨ……」とつぶやきました。

あとでヒヨコくんは気づいて、

「ごめんピヨ!」とあやまりました。

ひよたくんはにっこり笑って言いました。

「びっくりしたけど、もう大丈夫ピヨ。おたがい気をつけようピヨね。」

その笑顔に、森の風がやさしく吹き抜けていきました。

心の嵐は、もうすっかりおさまっていました。

📝ことばのおくりもの

「内なる嵐を鎮め、平静を装う。これぞ成熟の証。」

心の中に怒りや不安が生まれるのは、だれにでもあることです。

けれど、その波をすぐに外へぶつけず、まず自分の中で静めること。

それは弱さを隠すためではなく、「強さを選ぶ」こと。

静けさの中にこそ、本当の成熟が宿ります。

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