[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第32話―いかりの翼―

ある日、ヒヨコくんたちは森の広場で遊んでいました。

ヒヨコくん、ぴもんくん、ひよたくんの三人でサッカーです。

「いくピヨー!」

ヒヨコくんが元気よくドリブルし、ぴもんくんへパス。

ぴもんくんは嬉しそうにボールを追いかけます。

でも――

ひよたくんがボールを蹴ろうとするたびに、ぴもんくんが横からひょいっと横取りしてしまうのです。

「もう!ボクもシュートしたいピヨ!それにぜんぜんパスしてくれないピヨ!」

ひよたくんは思わず声を上げました。

ぴもんくんは照れ笑い。

「ごめんピヨ~、ついボク、夢中になっちゃって」

ヒヨコくんはその様子を見て、少し心配そうに二人を見ていましたが、何も言えずにいました。

けれど、ひよたくんの胸の中には、モヤモヤとした気持ちが残ったまま。

その夜。

お布団の中。

「なんでボク、こんなにイライラしてるんだろう…怒っちゃダメなのかな…?」

ひよたくんはスタイをぎゅっと握りしめながら考えました。

次の朝。

森の外れで、風にゆれる小さな花を見つめながら、ひよたくんはふと気づきます。

「怒りって、いやな気持ちを教えてくれるサインなんだピヨ。

ボクは“ちゃんと仲良く遊びたい”って思ってたんだピヨ」

そこへヒヨコくんがやってきました。

「ひよたくん、昨日ちょっと元気なかったピヨね」

ひよたくんはうなずきました。

「ボク、イヤだったって言ってもいいのかなって考えてたピヨ」

ヒヨコくんは、にっこり笑います。

「当たり前ピヨ!言わないと分からないこともあるピヨ」

その言葉に背中を押されて、ひよたくんはぴもんくんのところへ。

「ボク、昨日すごくイヤだったピヨ。

でもね、ボクもちゃんと楽しみたかったんだピヨ」

ぴもんくんは目を丸くして、それから優しく笑いました。

「そうだったんだピヨ。教えてくれてありがとうピヨ!

次はパス、絶対するピヨ!」

ヒヨコくんも大きくうなずきます。

「よーし!三人サッカー、チームプレー強化ピヨ!」

その日から、三人のサッカーはもっと息がぴったりになりました。

ひよたくんの“怒り”は、ケンカを生むためじゃなく、

“思いを伝える勇気” に変わったのです。

📝 ことばのおくりもの

怒りは、悪者ではありません。

それは「このままじゃイヤだ」という、心の奥からの声。

ただぶつけるのではなく、その奥にある願いを見つめることで、

私たちは前に進む力を得ることができます。

怒りを知り、

怒りに動かされず、

怒りで踏み出す。

そこにこそ、ほんとうの成長の一歩があるのです。

※アイキャッチの説明

やさしい森の中で、ヒヨコくん・ぴもんくん・ひよたくんが並んで座っているイラストピヨ。

まん丸おめめに、ほんのり赤いほっぺ、ふっくらした体であったかい雰囲気ピヨ。

上には「いかりの翼」の文字と、小さな羽がそっと描かれていて、心が成長するお話を感じる一枚ピヨ🪽🐥

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