[ひよこものがたり]ことばのおくりもの第42話「みんなが先生ピヨ!」

ある日、ヒヨコくんは庭でぽかぽかのひなたぼっこをしていました。

やさしい風がふいて、草の先っぽがゆらゆらゆれています。

「うーん……」

ヒヨコくんは空を見上げながら考えました。

「ボク、もっとかしこくなりたいピヨ!

すっごい先生を見つける旅に出るピヨ!」

そう言うと、ヒヨコくんはぴょこぴょこ庭を飛び出し、

新しい“先生”を探す旅に出ることにしました。

最初に出会ったのは、川辺でのんびり座っているすーさんでした。

大きな体をゆっさゆっさ揺らしながら、麦ジュースをぐびっと飲んでいます。

「すーさん!すーさん!」

「おやおや、ヒヨコくんじゃないかぞう?」

「ボク、かしこくなりたいピヨ!

何か教えてほしいピヨ!」

すーさんは、にっこり笑って空を見上げました。

「それならまず、風の音をよ~く聞くぞう。

耳をすませば、自然がいろんなことを教えてくれるぞう~」

ヒヨコくんは目を閉じて、じっと耳をすませました。

サワサワ……

パタパタ……

川の水がチャプチャプ……

すると、不思議なことに、さっきまでワクワクしていた心が、

すーっと静かになりました。

「ほんとだピヨ……。

風が、なにかお話ししてるみたいピヨ。」

「急がなくてもいいぞう。

ゆっくり感じることも、大事な勉強ぞう。」

ヒヨコくんは大きくうなずきました。

次に出会ったのは、お家の台所でパンを焼いているヒヨコママでした。

ふわ~っといい香りが広がっています。

「ママも先生ピヨ?」

ヒヨコママは笑って言いました。

「もちろんよ。ちょうどパン作りをしているところなの。」

ヒヨコくんもお手伝いすることになりました。

生地をこねて、丸めて、オーブンへ。

しばらくして取り出してみると……

「あっ!」

少し焦げてしまいました。

ヒヨコくんはしょんぼり。

「失敗したピヨ……」

するとヒヨコママは優しく言いました。

「大丈夫よ、ヒヨコくん。

焦げても、うまく焼けなくても、やり直せばいいの。」

「やり直すピヨ?」

「ええ。失敗も大事な先生なのよ。

どうしたら次はうまくいくか、教えてくれるでしょう?」

ヒヨコくんは、もう一度パンをこねました。

今度はゆっくり、ていねいに。

すると――

ふっくら、おいしそうなパンが焼けました。

「やったピヨ!」

ヒヨコくんの顔は、パンみたいにふわふわの笑顔になりました。

そのあと、庭に戻ると

ぴもんくんがフィッシュアーモンドをもぐもぐ食べていました。

「ぴもんくん先生ピヨ!」

ぴもんくんは目をキラキラさせます。

「食べることも勉強ピヨ!」

「勉強ピヨ?」

「このフィッシュアーモンド、カリカリしてるピヨ。

でも、ほんのり甘い味もするピヨ~。」

ヒヨコくんも一つ食べてみました。

カリッ。

「あっ!ほんとだピヨ!」

ぴもんくんはうれしそうに言いました。

「どんな味にも発見があるピヨ。

よーく味わうと、世界がもっと楽しくなるピヨ~。」

ヒヨコくんは「なるほどピヨ~」と感心しました。

そこへ、ひよたくんもやってきました。

ピンクのスタイをきちんと直しながら言います。

「きれいに食べることも学びピヨ。」

「どういうことピヨ?」

「食べ物は、誰かが作ってくれたものピヨ。

だから大切に、きれいに食べることが大事なんだピヨ。」

ヒヨコくんはテーブルを見ました。

パンを作ってくれたママ。

魚をとってくれた誰か。

アーモンドを育ててくれた誰か。

「ほんとだピヨ……

たくさんの人のおかげピヨ。」

ひよたくんは、にこっと笑いました。

夜になりました。

ヒヨコくんは庭で寝転がり、星空を見上げていました。

キラキラ……

たくさんの星が輝いています。

ヒヨコくんは今日のことを思い出しました。

風の音を教えてくれたすーさん。

失敗の大切さを教えてくれたママ。

味の楽しさを教えてくれたぴもんくん。

食べ物の大切さを教えてくれたひよたくん。

「ボク、今日だけで

いろんな先生に出会ったピヨ。」

「みんな違って、

でもみんなすごいピヨ。」

そのとき――

スーッ。

遠くの空で、星がひとつ流れました。

ヒヨコくんは静かに言いました。

「きっと、どんな人の中にも

学ぶことがあるピヨ。」

「ボクも、いつか誰かの先生になれるかもしれないピヨね。」

すると胸の中が、ぽかぽかあたたかくなりました。

風がやさしく吹いて、

まるで世界が「その通りだよ」と

うなずいてくれているみたいでした。

ヒヨコくんは目を閉じて、にっこりしました。

「明日もきっと、

新しい先生に出会えるピヨ。」

📝 ことばのおくりもの

「すべての人に師を見出す者こそ、真の賢者である。」

人は、誰からでも学ぶことができます。

それは、年上でも年下でも、友達でも、

時には自分の失敗からでも。

大切なのは、

「教えてもらおう」という心です。

その心を持ち続ける人は、

毎日少しずつ成長していきます。

そして気がつくと、

あなた自身も、誰かにとっての“先生”になっています。

今日出会う誰かの中にも、

きっとあなたの 小さな先生 がいるでしょう。 🌟🐥

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)

ぴよぴよ説明するピヨ🐥

かわべで、すーさんとヒヨコくんがおはなししてるピヨ。

ママとパンづくりしてまなぶピヨ。

ぴもんくん、ひよたくんとごはんで発見ピヨ。

よるのほしぞらで、ヒヨコくんがかんがえるピヨ。

みんなが先生ピヨ! ✨

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