アニマルランドの駅前に、
小さくてあたたかいごはん屋さんがありました。
白いのれんが、風にゆらゆら揺れています。
その日、ヒヨコ三兄弟はヒヨコママと一緒に、
はじめてそのお店に入りました。
「いらっしゃいませ」
カウンターの向こうで、ラジッピが元気よくあいさつをします。
エプロン姿で、てきぱきとお皿を運ぶ姿は、とても楽しそうでした。
料理が運ばれてきて、
三兄弟はそろって言います。
「いただきます、ピヨ!」
もぐもぐ、はふはふ。
どれもおいしくて、自然と笑顔になります。
食べ終わり、ヒヨコくんが顔を上げて言いました。
「ごちそうさまでした、ピヨ!」
すると、となりの席から、ひそひそ声が聞こえてきました。
「え、店で“ごちそうさま”って言うの?
なんか変じゃない?」
ヒヨコくんは、少し胸がきゅっとなりました。
ぴもんくんはスプーンを止め、
ひよたくんは、ぎゅっとスタイを握ります。
そのとき、ラジッピがにこっと笑って言いました。
「ありがとうございます。
その一言で、今日の疲れがふっと軽くなるんです」
ヒヨコママは、静かに席を立ち、
三兄弟の目線に合わせて話します。
「お店の人とお客さんは、
どちらが上でも、どちらが下でもないの。
ごはんを作る人と、いただく人。
同じ時間を分け合っている対等な存在よ」
ヒヨコくんは、はっとしました。
「感謝するのは、えらいとかじゃないピヨ。
ありがとうって、思ったから言うだけピヨ」
ラジッピは、深くうなずきました。
「そうですね。
私は料理を出す側、みなさんは食べる側。
でも、気持ちは同じ高さにあります」
帰り際、三兄弟はもう一度、
のれんの前で言いました。
「ごちそうさまでした、ピヨ!」
その声は小さくても、
お店の中をやさしく満たしていきました。
📝 ことばのおくりもの
飲食店での「ごちそうさま」を
笑ったり、馬鹿にしたりするのは、
感謝の気持ちを忘れてしまった行いです。
お金を払っているから偉いのではありません。
料理を作る人も、運ぶ人も、食べる人も、
同じ場所で同じ時間を共有する対等な存在です。
「ごちそうさま」は、
立場を決める言葉ではなく、
心の高さをそろえる言葉。
その一言が言える人は、
人としての品を、ちゃんと持っています。

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