アニマルランドの午後は、やわらかい風が吹いていました。
木陰のベンチで、ヒヨコ三兄弟は並んでひなたぼっこ。
「ねえねえ、ボクさ、今日じゅうにあれもこれもやるって言っちゃったピヨ!」
ヒヨコくんは、ちょっぴり胸を張りながらも、どこかそわそわ。
「いっぱい約束したピヨね」
ぴもんくんはフィッシュアーモンドをポリポリしながら、のんびり。
ひよたくんは、スタイをきゅっと整えて、静かに言いました。
「お兄ちゃん、それ…ほんとうに今日できるピヨ?」
ヒヨコくんは、ぴたりと止まりました。
頭の中で、約束がぐるぐる回ります。
やりたい気持ちはある。でも、時間も体力も、足りない気がする。
「でもさ…断ったら、がっかりされるピヨ」
声が、少しだけ小さくなりました。
そのとき、ヒヨコママがやさしく近づいてきました。
「できない時に『できない』って言うのはね、勇気がいることなの」
「でも、それは嘘をつかないってことでもあるのよ」
ヒヨコくんは、ぎゅっとくちばしを結びました。
それから、深呼吸。
「……今すぐはできないピヨ」
「ちゃんとできる時に、もう一回約束したいピヨ」
言葉にした瞬間、胸の奥がすーっと軽くなりました。
不思議と、空も少し明るく見えます。
「それでいいピヨ」
ひよたくんは、にこっと笑いました。
「うん、あとで一緒に謝りに行くピヨ」
ぴもんくんも、最後の一粒を大事そうに食べながらうなずきます。
ヒヨコくんは、みんなの顔を見て、照れくさそうに笑いました。
無理な約束はしないと決めた自分を、少しだけ誇らしく思いながら。
風は、さっきよりやさしく吹いていました。
📝ことばのおくりもの
「できない」と伝えるのは、逃げではありません。
それは、相手と自分、どちらも大切にする選択です。
無理な約束は、心をすり減らします。
正直な言葉は、信頼を育てます。
今すぐできない時は、
「できない」と言っていい。
その勇気が、あなたを楽にしてくれます。

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