ある冬の日、ヒヨコ三兄弟は朝から少し風邪気味でした。寒さのせいで体が冷えたのか、三兄弟そろってくしゃみを連発しています。
「クチュンピヨ!ボクたちくしゃみが止まらなくなったピヨ!」と一番元気なヒヨコくん。
「クチュンピヨ!あはは、ボクたちのくしゃみ、リズムが合ってるピヨ!」とふっくらしたぴもんくんも続きます。
「クチュンピヨ!……でも、くしゃみばっかりしてちゃ風邪が治らないピヨ。」としっかり者のひよたくんがため息をつきました。
「でもピヨ、くしゃみを止めるのは難しいピヨ!ほら、また——クチュンピヨ!」ヒヨコくんが言うと、
「クチュンピヨ!……あれ?ボクたちのくしゃみ、ちょっと音楽みたいじゃないピヨ?」とぴもんくんがニコニコ。
「音楽みたいでも、風邪を治さないと困るピヨ。」ひよたくんは真剣です。
そんな三兄弟の「クチュンピヨ!」が、なんと村中の動物たちに大ウケ!
「なんだぞう?そのかわいい音は!こっちまで笑っちゃうぞう!」とゾウのすーさんがのんびり笑い、
「ふふふ、とっても可愛くてみんなを笑顔にする音ね!」とベルちゃんは優しく微笑みます。
「絵本の世界から飛び出してきたみたいで、なんだか癒されるピヨ……あ、つい語尾がピヨになっちゃった。」恥ずかしがり屋のリンちゃんもつい笑顔に。
村中の動物たちは、三兄弟のくしゃみがあまりにも可愛くて、耳を傾けてしまいます。
「ボクたちのくしゃみ、もしかして新しい才能ピヨ?」ヒヨコくんが目を輝かせ、
「風邪をひいてるのに人気者ピヨ!なんだか得した気分ピヨ!」ぴもんくんも嬉しそう。
「人気者になっても、ちゃんと風邪を治さないといけないピヨ。」ひよたくんがきちんと言います。
そこで動物たちが協力して、三兄弟のために暖かいスープを作ってくれることに。
「にんじんのスープを作ったわ!これで元気になってね!」ベルちゃんがスープを差し出し、
「ぞうぞう!特製の生姜入り麦ジュース…間違えた生姜湯もあるぞう!」すーさんがドンと置き、
「お話を聞きながら、ゆっくり温まってね。」リンちゃんが優しく見守ります。
スープやお生姜湯を飲んで、三兄弟はポカポカしてきてだんだん元気になっていきました。
「ありがとうピヨ!なんだかくしゃみも止まってきたピヨ!」ヒヨコくんが嬉しそうに言い、
「これでまた元気いっぱいフィッシュアーモンドを食べられるピヨ!」ぴもんくんは大喜び。
「うん、ボクももう元気になった気がするピヨ。」ひよたくんもにっこり微笑みました。
その晩、風邪が治りかけた三兄弟は布団の中で話しました。
「ボクたちの“クチュンピヨ”でみんなを笑顔にできてよかったピヨ!」ヒヨコくんが得意げに言い、
「ボクたち、くしゃみでもヒーローになれるピヨね!」ぴもんくんが笑い、
「でも、これからはちゃんとあたたかくして、風邪をひかないようにしようピヨ。」ひよたくんがみんなに注意しました。
こうして、ヒヨコ三兄弟の「クチュンピヨ!」は村中に笑顔を広げ、またひとつ楽しい思い出が増えたのでした。
おしまい
※タイトルのイラストには、3羽揃ってくしゃみをしているヒヨコ三兄弟が描かれています。