今日は3月14日、ホワイトデー!
ヒヨコ三兄弟は、それぞれチョコレートをもらったお友だちにお返しをするため、朝からそわそわしていました。
「今から!プレゼントを届けるピヨ!」と、ヒヨコくんが先頭に立ち、三羽はそれぞれの贈り物を持って出発しました。
ヒヨコくんとベルちゃん
最初に向かったのは、ベルちゃんのおうち。
ベルちゃんは、先月のバレンタインデーに、甘くておいしいイチゴのチョコをくれました。
「ベルちゃん!ホワイトデーのお返しピヨ!」
ヒヨコくんが手渡したのは、ピンクのリボンがついた小さな箱。
中には、ヒヨコくんが選んだ金貨チョコと、コインの形のクッキーが入っていました。
「ベルちゃんがくれたチョコ、おいしかったピヨ!だから、ボクの大好きなコインみたいなお菓子を選んだピヨ!」
ベルちゃんは箱を開けて、目をキラキラさせました。
「わぁ!かわいい!ありがとう、すごくヒヨコくんらしくて気持ちが伝わるよ!」
「当たり前ピヨ!ベルちゃんのために探し回ったピヨ!」とヒヨコくんは得意げに胸を張りました。
ぴもんくんとリンちゃん
次に向かったのは、林の中に住むリンちゃんのところ。
「リンちゃん!バレンタインのお返しピヨ!」
ぴもんくんが渡したのは、おいしそうなクッキーの詰め合わせ。
実は、ぴもんくんが選ぶときに「ボクも食べたいピヨ…」とかなり悩んだお菓子でした。
「リンちゃん、チョコありがとうピヨ!これね、おいしいクッキーがいっぱい入ってるピヨ!一緒に食べるピヨ?」
「え、もう食べるの?」とリンちゃんがあきれた顔をすると、ぴもんくんはニコニコしながらうなずきました。
「せっかくだから、今食べるピヨ!」
「ほんと食いしん坊なんだから…まあ、いいわ。一緒に食べよっか。」
リンちゃんは苦笑いしながら、ぴもんくんと一緒にサクサクのクッキーを味わいました。
ひよたくんとピヨちゃん&よいちゃん
最後に訪れたのは、ピヨちゃんとよいちゃんのところ。
ひよたくんは、2羽のためにかわいいハート型の紅茶セットを選んでいました。
「ピヨちゃん、よいちゃん、バレンタインのお礼ピヨ!」
「わぁ、かわいいピヨ!」
「これは…紅茶ピヨ?」
「そうピヨ!ピヨちゃんはコーヒーが好きだけど、たまには紅茶もいいかなって思ったピヨ!」
「うん!気分を変えて飲むのもいいピヨね!」
「それに、よいちゃんはお料理が得意だから、この紅茶とお菓子を一緒に楽しめたらいいなって思ったピヨ!」
「ひよたくん、ありがとう。すごく嬉しいよ。」
よいちゃんはニコニコしながら、紅茶の香りをかぎました。
「この紅茶で、今度みんなでティータイムしましょうね。」
「うん!楽しみピヨ!」
こうして、ヒヨコ三兄弟は無事にホワイトデーのお返しを渡すことができました。
「バレンタインも楽しかったけど、お返しをするのも楽しいピヨ!」
「そうピヨね!みんなが喜んでくれて、うれしいピヨ!」
「お菓子もたくさん食べたし、大満足ピヨ!」
そんな会話をしながら、ヒヨコ三兄弟はおうちへ帰りました。
きっと来年のホワイトデーも、楽しい1日になることでしょう。
すーさんのドキドキホワイトデー
ヒヨコ三兄弟がホワイトデーのお返しを終えて帰った後、林の中ではもうひとつのホワイトデーの物語が始まっていました。
川の向こうから、ジーパンとパーカー姿の大きなゾウ——すーさんが、モジモジしながらやってきます。
「え、えーと…こ、こんにちは、ぞう…!」
「なによ、すーさん。なんか挙動不審ね。」
リンちゃんが腕を組みながら、じーっとすーさんを見上げます。
すーさんは大きな体を揺らしながら、手に持った小さな袋をそっと差し出しました。
「えっと…その…バレンタインデーの…お、お返し…ぞう…!」
「へぇ、お返しなんて気が利くじゃない。」
リンちゃんは袋を受け取り、中を覗き込みました。
そこには、かわいらしいクマさんの形をしたチョコレートと、ふんわり甘いマシュマロが入っています。
「ふーん、なかなかかわいいの選んだじゃない。誰にアドバイスもらったの?」
「えっ!? そ、そそそ、そんなの自分で決めたぞう!」
「へぇ? ふーん?」
リンちゃんはニヤリと笑い、すーさんの顔を覗き込みました。
すーさんの大きな耳は、ほんのり赤くなっています。
「ま、ありがたくもらっとくわ。すーさんも、たまにはやるじゃない。」
「う、うん! そ、それならよかったぞう…!」
「でもさ、なんでそんなにオドオドしてんのよ。まさか私に怒られると思ってた?」
「うっ…そ、それは……ちょっとあるぞう……。」
「バカねぇ。」
リンちゃんはくすっと笑い、マシュマロをひとつ口に入れました。
「…うん、おいしい。」
その一言で、すーさんはホッと胸をなでおろします。
「そ、そうか! よかったぞう…!」
「ま、これで貸し借りなしってことで。」
「う、うん! …ま、また来年も…ぞう……」
「なに? 来年も渡す気なの?」
「え!? い、いや、その、えーと……」
「ふふ、冗談よ。でも期待してるからね。」
そう言ってリンちゃんはくるっと背を向け、ひらひらと手を振って歩いていきました。
すーさんはしばらくぼーっと立っていましたが、やがて「ふぅ~~」と大きく息を吐きました。
「な、なんだかんだで…リンちゃん、やさしいぞう……。」
そうつぶやきながら、すーさんは川の向こうへと帰っていきました。
——こうして、すーさんのドキドキホワイトデーは無事(?)に終わったのでした。
おしまい!
※タイトルのイラストには、ヒヨコ三兄弟がホワイトデイの準備をしている風景が描かれています。お菓子の箱やクッキーや紅茶があり優しい雰囲気になっています。