あるあたたかな春の日、ヒヨコ三兄弟は、お庭で日向ぼっこをしていました。
ぽかぽか陽気に、ぴもんくんはうとうと、ひよたくんは絵本を読んで、ヒヨコくんは500円玉をひなたでキラキラさせてご機嫌です。
そのとき、遠くのほうから、てちてちと軽やかな足音とともに、にぎやかな声が近づいてきました。
「ピヨピヨー!ヒヨコくーん!ぴもんくーん!ひよたくーん!」
「この声はっ…!」「まさか…!」「チュンにいちゃんピヨ!!」
そう、森の向こうに住む親戚の優しいヒヨコのお兄ちゃん――チュンにいちゃんが、久しぶりに三兄弟の家に遊びにきてくれたのです!
「やあやあ、みんな元気そうでよかったピヨ〜!」と、チュンにいちゃんはにっこり。
リュックを背負って、ほこりを払いながら近づいてきました。
「今日は、みんなに会いたくなって、いてもたってもいられなくなって、来ちゃったピヨ!」
「ちょうど旅から帰ったところでね、おみやげもあるピヨ〜!」
ヒヨコ三兄弟はわくわく顔で、ぴょんぴょん飛び跳ねます。
「えっ!?おみやげ!?」「なになに!?」「はやく見せてピヨ〜!」
チュンにいちゃんは、リュックのチャックをそ〜っと開けました。
「まずはヒヨコくん、君にはね…これピヨ!」
取り出したのは、うす青い光を放つ、海外のきれいなコイン。
模様には、波と星が彫られていて、見たこともないカタチです。
「うわあ〜っ!このコイン、知らない国のだピヨ!」「キラキラしてて、まるで宝物ピヨ!」
ヒヨコくんは目をキラッキラさせて、500円玉と並べてうれしそう。
「つぎはぴもんくん…きみにはこれピヨ!」
手のひらにのっていたのは、七色のふりかけがまぶされた、珍しいフィッシュアーモンド。
香ばしい香りがふわ〜っとただよって、ぴもんくんのほっぺがとろけそうです。
「えっ…これ、食べられるピヨ?…おいしそうすぎて、芸術ピヨ…」
「すこしだけ食べるピヨ…むにゃっ……うんまぁ〜いっピヨ!!」
そして最後にチュンにいちゃんは、そっと小さな袋を取り出しました。
「ひよたくんには、これピヨ」
袋の中には、どうぶつたちが主人公の、かわいらしい絵本が入っていました。
表紙には、にっこり笑ったウサギとリスが、桜の木の下でケーキを囲んでいます。
「…わあ……やさしい絵…」「ありがとうチュンにいちゃん、ボク、この絵本、大切に読むピヨ!」
三兄弟は、手を合わせて、ぴょんぴょん飛び跳ねながらお礼を言いました。
「ありがとうピヨー!!チュンにいちゃん、だいすきピヨ!」
「にいちゃん、最高すぎピヨー!」
「また会えて、うれしいピヨ!」
そんなあたたかくて、うれしい時間のあと――
三兄弟はちょっぴり真剣な表情になって、チュンにいちゃんに近づきました。
「じつはね、チュンにいちゃん……ちょっと相談があるピヨ」
「ボクたち、森の奥で“ひみつの宝さがし”をしたいんだけど…、地図がむずかしくて…」
「チュンにいちゃん、いっしょに行ってくれるピヨ?」
チュンにいちゃんは、やさしく笑って、みんなの頭をぽんぽんとなでました。
「もちろんピヨ。三兄弟の冒険には、チュンにいちゃんが必要でしょ?出発の準備、しようピヨ!」
こうして、ヒヨコ三兄弟とチュンにいちゃんの、ドキドキワクワクな“ひみつの宝さがし大作戦”が始まるのでした――!
つづく