[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第21話「ゆらぐ地図と、胸のコンパス」

ひよこものがたり

ある日の午後。ヒヨコ三兄弟は、森の奥へと探検に出かけました。

先頭を歩くのはヒヨコくん。手にはしっかりとした地図を握っています。

「よーし!この道をまっすぐ行けば、きっと“宝の丘”に着くはずピヨ!」

弟たちはワクワクしてついていきましたが、進むほどに道は細くなり、やがて地図に描かれていない分かれ道が現れました。

「……え? こんな道、書いてないピヨ」

ヒヨコくんの胸がドキリと鳴りました。

地図通り右に行けば森の奥の暗がり。

地図に載っていない左に行けば小川のせせらぎ。

「ボクは……地図どおりじゃないと、不安ピヨ。だけど、左も気になるけどそれじゃ迷子になるかも……」

心の中で、二つの声が響きました。

――「地図を信じろ、約束どおり進め」

――「いや、胸の中の“行きたい”を感じてみろ」

ヒヨコくんは立ち止まり、目を閉じました。

未知の方へ行くのは怖い。だけど、胸の奥で小川の方へ行きたい気持ちがふくらんでいる。

「ボク……本当は、小川の方へ行きたいピヨ」

そう呟くと、不思議と胸の不安が少しやわらぎました。

「よし、ボクのコンパスはこっちだ!」

弟たちと一緒に小川の道へ進むと、やがてそこは光に包まれた広場へとつながり、花が咲き乱れる秘密の場所にたどり着いたのです。

「すごいピヨ! こんな場所、地図には書いてなかったピヨ!」

弟たちは目を輝かせました。

ヒヨコくんは胸を張りながら、小さくつぶやきました。

「地図にない道でも……胸のコンパスを信じれば、進めるんだピヨ」

📝 ことばのおくりもの

「地図に囚われるな、コンパスを信じよ。」

固定された目的や既成の道筋にとらわれすぎると、大切な発見を見逃してしまうことがあります。

真に頼るべきは外の指示ではなく、内なる声――あなたの心のコンパスです。

それを信じる勇気が、新しい景色を開いてくれるのです。

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