ある日の午後。ヒヨコ三兄弟は、森の奥へと探検に出かけました。
先頭を歩くのはヒヨコくん。手にはしっかりとした地図を握っています。
「よーし!この道をまっすぐ行けば、きっと“宝の丘”に着くはずピヨ!」
弟たちはワクワクしてついていきましたが、進むほどに道は細くなり、やがて地図に描かれていない分かれ道が現れました。
「……え? こんな道、書いてないピヨ」
ヒヨコくんの胸がドキリと鳴りました。
地図通り右に行けば森の奥の暗がり。
地図に載っていない左に行けば小川のせせらぎ。
「ボクは……地図どおりじゃないと、不安ピヨ。だけど、左も気になるけどそれじゃ迷子になるかも……」
心の中で、二つの声が響きました。
――「地図を信じろ、約束どおり進め」
――「いや、胸の中の“行きたい”を感じてみろ」
ヒヨコくんは立ち止まり、目を閉じました。
未知の方へ行くのは怖い。だけど、胸の奥で小川の方へ行きたい気持ちがふくらんでいる。
「ボク……本当は、小川の方へ行きたいピヨ」
そう呟くと、不思議と胸の不安が少しやわらぎました。
「よし、ボクのコンパスはこっちだ!」
弟たちと一緒に小川の道へ進むと、やがてそこは光に包まれた広場へとつながり、花が咲き乱れる秘密の場所にたどり着いたのです。
「すごいピヨ! こんな場所、地図には書いてなかったピヨ!」
弟たちは目を輝かせました。
ヒヨコくんは胸を張りながら、小さくつぶやきました。
「地図にない道でも……胸のコンパスを信じれば、進めるんだピヨ」
📝 ことばのおくりもの
「地図に囚われるな、コンパスを信じよ。」
固定された目的や既成の道筋にとらわれすぎると、大切な発見を見逃してしまうことがあります。
真に頼るべきは外の指示ではなく、内なる声――あなたの心のコンパスです。
それを信じる勇気が、新しい景色を開いてくれるのです。

