[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第23話「ことばの向こうにあるもの」

ひよこものがたり

ある日の午後、ヒヨコ三兄弟は庭でおやつを食べながら、何やらもめていました。

「ぴもんくん、ボクの分のフィッシュアーモンド、ちゃんと残してあるピヨよね?」

ヒヨコくんがじっと見つめると、ぴもんくんはもぐもぐしながら首をかしげました。

「え? なんのことピヨ?」

ひよたくんが慌てて間に入ります。

「ヒヨコくん、ちゃんと“残しておいて”って言ったの?」

「言ってないピヨけど……見ればわかるピヨ! ボク、食べたそうにしてたピヨ!」

ぴもんくんはしょんぼり。

「そんなのわからないピヨ……ボク、ヒヨコくんがもういらないのかと思ったピヨ……」

その瞬間、ヒヨコくんの心にチクリと痛みが走りました。

自分の中では「当然」だと思っていた気持ちが、相手には届いていなかった。

察してもらおうとするだけでは、優しさは伝わらないのだと気づいたのです。

「ごめんピヨ、ボク、ちゃんと“残してほしい”って言えばよかったピヨ。」

ヒヨコくんがそう言うと、ぴもんくんはにっこり笑いました。

「うん! 次はちゃんと半分こしようピヨ!」

ひよたくんもほっと一息。

言葉にした瞬間、すれ違いの霧が晴れていくようでした。

📝ことばのおくりもの

思いを胸にしまったままでは、相手には伝わりません。

「察してほしい」と願うだけでは、知らぬ間に誰かを傷つけてしまうこともあります。

だからこそ、優しく、正直に、言葉で伝えましょう。

意志を語ることは、相手を動かすためではなく――

心と心をつなぐための、最初の一歩なのです。

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