[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第29話「涙のあとにのこるもの」

ある日の午後。森のベンチで、ぴもんくんがしょんぼりとうつむいていました。

「ボク、ひよたくんが昨日のおやつをくれなかったから悲しかったピヨ……」

その言葉に、ヒヨコくんは眉をひそめました。

「でもそれ、ひよたくんが夜の分にとっておいたんだピヨ? ぴもんくんが食べたらひよたくんのが無くなるピヨ」

ぴもんくんはぷくっとほっぺをふくらませました。

「でもボク、悲しかったピヨ! ボクが泣いたら、ひよたくんもきっと反省すると思ったピヨ!」

すると、少し離れたところで聞いていたひよたくんが、静かに近づいてきました。

「ぴもんくん……ボク、ぴもんくんが泣いてるのを見て、すごく悲しかったピヨ。でも、それでボクが困るのを見てうれしいのピヨ?」

ぴもんくんははっとして、目を丸くしました。

「……ちがうピヨ。ボク、ただ気づいてほしかっただけピヨ……」

ヒヨコくんが優しく微笑みました。

「本当に伝えたいことは、“悲しい”じゃなくて、“分かってほしい”なんだピヨね。涙で縛るより、言葉でつながる方がずっと強いピヨ。」

ぴもんくんは少し照れながら、ひよたくんに手を差し出しました。

「ひよたくんごめんピヨ。もう泣いて伝えるの、やめるピヨ。」

ひよたくんはその手を握り返し、3羽のあいだに、やわらかな風が吹き抜けました。

その風は、感情の鎖をほどき、心の距離をゆっくりと近づけていきました。

📝ことばのおくりもの

感情で相手を操ろうとするのは、心が未熟な証です。

涙や怒りで動かすより、言葉で理解し合うことこそが本当の強さ。

思いを伝えるときこそ、「支配」ではなく「対話」を選びましょう。

※タイトルのアイキャッチの説明ピヨ!

森のベンチで、ぴもんくんがちょっぴり涙、ヒヨコくんがそっと寄りそうピヨ。

まん丸おめめと赤いほっぺで、きもちが少しずつほどけていくピヨ。

やさしい風と一緒に、「涙のあとにのこるもの」が心にのこる一枚ピヨ。

Comments are closed