ある日の午後。
森の木々がやわらかい風にゆれて、木漏れ日がきらきらと地面に落ちていました。
ヒヨコくんとぴもんくんは、ベルちゃんと並んで遊んでいました。
ヒヨコくんが思いついた遊びを言えば、ぴもんくんは「それ、楽しそうピヨ!」とすぐに乗ります。
ぴもんくんが転びそうになると、ヒヨコくんは当たり前のように羽を伸ばして支えました。
「ヒヨコくんとぴもんくんって、本当に仲いいね」
ベルちゃんがくすっと笑うと、
「当たり前ピヨ!」
「ずっと一緒ピヨ!」
2人は声をそろえて答えました。
――だからこそ。
ほんの小さな行き違いが、思いがけず胸に引っかかってしまったのです。
「ボク、悪くないピヨ!」
ヒヨコくんの声は、いつもより少し強く響きました。
「ボクだって、そんなつもりじゃなかったピヨ!」
ぴもんくんも、珍しくむくれた顔をします。
さっきまで同じ方向を見ていた2羽が、背中合わせになるように黙りこみました。
ベルちゃんは困ったように耳をぴょこんと立てます。
「もう…やめようよ。こんな気持ちで遊ぶの、やだよ」
でもヒヨコくんは、ふいっと顔をそらしました。
さっきまで一番近くにいたはずのぴもんくんを、見ないようにして。
「じゃあ、もう別々に遊べばいいピヨ」
その言葉に、森の空気が少し冷たくなりました。
ぴもんくんはしょんぼりして、持っていたフィッシュアーモンドをぽとりと落とします。
大好きなおやつなのに、拾う気にもなれません。
そのとき、少し離れた木の陰から、ひよたくんがそっと出てきました。
「おにいちゃんたち……。仲直り、しないのピヨ?」
ヒヨコくんは黙っていました。
けれど、ひよたくんのまっすぐな目を見た瞬間、胸がちくりとしました。
(ボク、ただ怒ったまま逃げたかっただけピヨ……)
少し考えてから、ヒヨコくんは小さな声で言いました。
「ごめんピヨ。ボク、嫌な気持ちから逃げちゃってたピヨ」
ぴもんくんは、ふわっと笑って、ヒヨコくんの羽をそっと握りました。
「ボクも、ちゃんと話せばよかったピヨ」
森にやさしい風が吹き、3羽のあいだに、またあたたかな空気が戻ります。
ベルちゃんも、ほっとしたようににこっと笑いました。
「そうそう。仲直りって、勇気の証なんだよ」
──その日、ヒヨコたちは知りました。
本当に仲がいいからこそ、すれ違うこともある。
でも、逃げずに向き合えば、絆はまたちゃんと結び直せるのだと。
📝ことばのおくりもの
永く続く関係には、必ず「すれ違い」や「課題」が訪れます。
それでも、離れず、話し合い、理解しようとする勇気があるかどうか。
それこそが、本当の“縁”を育てる力なのです。
※アイキャッチの説明
森の中で、けんかのあとに仲直りしたヒヨコくんとぴもんくんが、ぴたっとくっついてるピヨ。
少し後ろでひよたくんが見守っていて、ベルちゃんはたれ耳をゆらしてにこにこピヨ。
上には「にげない友情の形」の文字。
やさしい風とあったかい気持ちが広がるイラストピヨ🌿🐥🐰

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