[ひよこものがたり]ことばのおくりもの第57話「わらっていいよピヨ」

ある日のこと。
ヒヨコ三兄弟は、ベルちゃんのカフェに集まっていました。

「いらっしゃい♪ 今日のおすすめはイチゴケーキよ」
ベルちゃんがにこにこしながら運んできます。

「わーいピヨ!」
ぴもんくんは、目をきらきらさせて大はしゃぎ。

ところがそのとき——

つるっ!

ぴもんくんは足をすべらせて、どてんっ!としりもちをついてしまいました。
ケーキはぐしゃっ……。

一瞬、空気がしんと静まりかえります。

ヒヨコくんは心配そうに言いました。
「だ、大丈夫ピヨ…?」

ひよたくんも、どう声をかけたらいいか迷っています。

そのとき——

ぴもんくんは、ちょっとだけ顔をしかめたあと、
ふにゃっと笑って言いました。

「えへへ……ケーキより先に、ぼくがつぶれちゃったピヨ〜」

そのひとことに、
みんなの緊張がふっとほどけました。

「もう、ぴもんくんったら!」
ベルちゃんもくすっと笑います。

「それじゃあ、“ぺちゃんこケーキセット”に変更ピヨ?」
ヒヨコくんが冗談を言うと、

「それ新メニューにするピヨ!」
ぴもんくんも笑いながら返しました。

ひよたくんも、安心したようにくすっと笑います。
「…でも、次はちゃんと座って食べようね」

カフェの中には、やさしい笑い声が広がりました。
少し前までの“気まずさ”は、もうどこにもありません。

ぴもんくんは思いました。
(ちょっと痛かったけど……笑ってもらえて、よかったピヨ)

それは、無理に強がったわけじゃなくて、
みんなと同じ気持ちでいたかったから。

そしてみんなも、
そのやさしい冗談を受け取って、いっしょに笑ったのでした。

📝ことばのおくりもの

人が自分の痛みをそっと冗談にしたとき、
そこには「一緒に笑っていいよ」というやさしいサインがあることがあります。
気をつかうことよりも、その想いを受け取って、同じ目線で笑うこと。
それが、心の距離をぐっと近づけることもあるのです。

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)

ベルちゃんのカフェで、ヒヨコ三兄弟がイチゴケーキを楽しみにしているピヨ♪
でも、ぴもんくんがうっかりつるんっと転んで、ケーキがぺちゃんこになっちゃったピヨ〜!

ヒヨコくんとひよたくんはびっくりしたけど、ぴもんくんが「ぼくのほうが先につぶれちゃったピヨ〜」って笑ったから、みんなもくすっと笑顔になったピヨ。
ベルちゃんもやさしく笑って、カフェの中はあったかい空気でいっぱいになったピヨ♪

絵本みたいなやさしい色合いで、イチゴケーキやカフェの小物もかわいく描かれているピヨ〜!

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