朝のアニマルランド。
台所から、ことこと、ぐつぐつ。
いい匂いがふわっと広がって、ヒヨコ三兄弟のおなかが同時に鳴りました。
「ボク、もう待てないピヨ!」
ヒヨコくんは椅子にちょこんと座り、スプーンを握ってうずうず。
ぴもんくんは、テーブルの上をじーっと見つめながら、
「これ、ぜったいおいしいピヨ……」と、よだれをこらえています。
ひよたくんは、手をひざにそろえて、ちゃんと待っていました。
そこへヒヨコママが、あたたかいスープを運んできます。
「はい、できたわよ」
その瞬間――
ヒヨコくんが、思わずスプーンをのばしました。
「……あら?」
ヒヨコママは、にこりともせず、やさしく立ち止まります。
「まだ、何か忘れていない?」
ヒヨコくんは、はっとして手を止めました。
ぴもんくんも、ひよたくんも、みんなで顔を見合わせます。
「……いただきます、ピヨ」
三兄弟がそろって言うと、
不思議なことに、スープの湯気がいっそうやさしく見えました。
ひと口飲むと、体の中までぽかぽかして、
なんだか心まで満たされていくようです。
「おいしいピヨ!」
「これ、だいすきピヨ!」
「ママ、ありがとうピヨ」
食べ終わったあと、空になったお皿を見つめて、
ひよたくんが小さく言いました。
「……ごちそうさまでした、ピヨ」
その声につられて、
「ごちそうさまでした、ピヨ!」
と、三兄弟の声がそろいます。
ヒヨコママは、少し目を細めて言いました。
「『いただきます』は、食べものの命や、作ってくれた人へのごあいさつ。
『ごちそうさま』は、ちゃんと受け取ったよ、ありがとう、っていう言葉なのよ」
ヒヨコくんは、空のお皿を見てうなずきました。
「言うと、ちゃんと大切に食べた気持ちになるピヨ」
その日から三兄弟は、
どんなごはんのときも、どんなに急いでいても、
かならず声に出して言うようになりました。
「いただきます」
「ごちそうさま」
それは、
ごはんと一緒に、感謝の気持ちを食べる合言葉でした。
📝 ことばのおくりもの
「いただきます」と「ごちそうさま」は、
ただのあいさつではありません。
命をいただくこと、
作ってくれた人の時間や想いを受け取ることを、
心でちゃんと感じるための言葉です。
忙しい日も、気持ちに余裕がない日も、
この二つの言葉を忘れなければ、
ごはんの時間は、心を整えるやさしい時間になります。
小さなひと言が、
毎日を大切にする力になります。
※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)
「あったかスープを前に、ヒヨコ三兄弟が“いただきますピヨ!”って元気にごあいさつしてるピヨ〜!
ヒヨコくんはスプーンを持ってわくわく、ぴもんくんはおなかぺこぺこなお顔、ひよたくんはおててをそろえておりこうさんピヨ。
ヒヨコママのやさしい笑顔と、ぽかぽか湯気が、とっても幸せいっぱいなイラストになってるピヨ〜!」

Comments are closed