ある朝、アニマルランドはぽかぽかいい天気。
ヒヨコくん、ぴもんくん、ひよたくんは、並んでお散歩に出かけました。
ところが途中、ヒヨコくんは道ばたの小石につまずいて、ころん。
ケガはなかったけれど、胸の中に「むすっ」が残りました。
「ついてないピヨ……」
ヒヨコくんはくちばしを尖らせ、そのまま無言で歩き出します。
ぴもんくんは、横をちらり。
いつもならおしゃべりなのに、今日は声をかけるのをためらいました。
(今、話しかけたら、怒らせちゃうかもピヨ……)
ひよたくんも、少し歩幅を小さくします。
ヒヨコくんの機嫌をうかがいながら、空気がピンと張りつめていくのを感じていました。
鳥のさえずりが聞こえても、
きれいなお花が咲いていても、
誰も「きれいだね」と言いません。
ぴもんくんはポケットのフィッシュアーモンドに手を伸ばしかけて、
そっと引っ込めました。
(今は、半分こって言わないほうがいいピヨね……)
ひよたくんは、何か楽しい話をしようとして、
でも言葉を飲み込みました。
(ボクがしゃべると、ヒヨコくん、余計にイライラしちゃうかもピヨ)
三人の間に、静かな重たい空気が流れます。
そのとき、ヒヨコくんはふと気づきました。
後ろを歩く二人が、いつもより静かで、
いつもより遠慮していることに。
立ち止まり、振り返ります。
ぴもんくんは少し困った顔。
ひよたくんも、気を遣った小さな笑顔。
「……あれ?」
ヒヨコくんの胸が、ちくっとしました。
ひよたくんが、勇気を出して言います。
「ヒヨコくん、さっき転んでびっくりしたよねピヨ。
ちょっと深呼吸してみない?」
ヒヨコくんは、はっとして、ふう……と息を吐きました。
胸の中にたまっていた「むすっ」が、少しずつほどけていきます。
道ばたには、黄色いお花。
元気そうに揺れていました。
「……ボク、不機嫌な顔してたピヨね」
小さく言うと、ぴもんくんとひよたくんが、ほっとしたように笑います。
「ボクたち、ちょっとドキドキしてたピヨ」
「ヒヨコくんが元気ないと、心配になるピヨ」
ヒヨコくんは、胸の奥があたたかくなりました。
自分の機嫌が、知らないうちに大切な二人に影を落としていたこと。
「ごめんピヨ。ボクの機嫌は、ボクで直すピヨ」
そう言って、もう一度深呼吸。
今度はちゃんと、笑いました。
ぴもんくんはフィッシュアーモンドを差し出し、
「半分こ、復活ピヨ!」
ひよたくんも、にっこりうなずきます。
三人の足取りは、また軽くなり、
アニマルランドの道に、やさしい風が戻ってきました。
📝ことばのおくりもの
自分が不機嫌なとき、
いちばん困っているのは、
実はそばにいる大切な人かもしれません。
気を遣わせてしまう空気、
言葉を飲み込ませてしまう沈黙。
だからこそ、
自分の機嫌は、自分で取る。
それは強さでも我慢でもなく、
まわりへの思いやりと、
自分を大切にするやさしさです。
※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)
🐥💛ピヨピヨ〜!
ヒヨコくんが「むすっ」としながら歩いているピヨ〜。
赤いスカーフがふわっとなびいているけど、お顔はちょっぴりご機嫌ななめピヨ。
後ろでは、ぴもんくんとひよたくんが心配そうに見守っているピヨ〜。
ぽかぽかのお花道なのに、三兄弟のまわりだけ少しだけドキドキな空気が流れているピヨ。🌼🐥📚🐟💛

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