その日は、空が少しだけ曇っていました。
庭でいつも通り遊んでいたヒヨコ三兄弟でしたが、ヒヨコくんだけが、木の根っこにちょこんと座り込んでいました。
「どうしたピヨ? 当たり前ピヨって言わないピヨ?」
ぴもんくんが心配そうに、フィッシュアーモンドを一粒差し出します。
ヒヨコくんは、くちばしをぎゅっと結んだまま、首を横に振りました。
「今日は…なんだか、何をやってもダメな気がするピヨ…」
元気で、前向きで、いつも冒険を引っ張ってきたヒヨコくん。
でも今日は、羽が重くて、心もずしんと沈んでいました。
「うまくいかないときもあるピヨ」
ひよたくんは、そっとヒヨコくんの隣に座ります。
「でも、ポジティブにならなきゃって思うと、もっとつらくなるピヨ」
ヒヨコくんは、小さくつぶやきました。
「みんな、元気じゃないとヒヨコくんらしくないって言うピヨ。
元気のないボクは、ダメピヨ…」
その言葉を聞いたヒヨコママは、何も言わずに、ヒヨコくんをぎゅっと抱きしめました。
あたたかくて、やわらかくて、何も求めてこない腕の中。
「元気じゃなくていい日もあるのよ」
ヒヨコママは、静かに言いました。
「悲しいとき、無力に感じるとき、元気が出ないとき。
そんなときは、がんばらなくていいの」
ヒヨコパパも、コトリと腰を下ろします。
「落ち込むのは、ちゃんと向き合っている証拠だよ。
無理に立ち上がらなくていいから今日は休もう」
ヒヨコくんの目から、ぽろりと涙がこぼれました。
でもそれは、苦しい涙じゃなくて、ほっとした涙。
「…甘えていいピヨ?」
「もちろんピヨ」
ぴもんくんは、にこっと笑って隣にぴったりくっつき、
ひよたくんは、そっと背中をさすりました。
しばらくして、雲の切れ間から、やさしい光が差し込みます。
ヒヨコくんは、少しだけ深呼吸をしました。
「まだ元気じゃないけど…」
「それでいいピヨ」
「元気になったら、また一緒に前に進めばいいピヨ」
その日、ヒヨコくんは無理に笑いませんでした。
でも、心は少しだけ軽くなっていました。
ポジティブは、取り戻すもの。
押し付けるものじゃない。
そう、ヒヨコ三兄弟たちは知ったのです。
📝 ことばのおくりもの
いつも前向きでいなくていい。
落ち込む日、泣きたい日、何もしたくない日があっていい。
そんなときは、自分に「甘えていいよ」と言ってあげて。
ちゃんと休んで、心が動き出したら、
そのときに、またポジティブを迎えに行けばいいんだよ。
※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)
※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)
ヒヨコくんが木の根っこでしょんぼりしているピヨ…。
でも、ぴもんくんとひよたくん、それにヒヨコママとヒヨコパパが、やさしく寄りそっているピヨ💛
「元気じゃない日があっても大丈夫ピヨ」
そんなあったかい気持ちが伝わってくる、やさしい絵本みたいなイラストだピヨ🐥🌳☁️✨

Comments are closed