[ひよこものがたり]ことばのおくりもの第62話「ポジティブじゃない日」

その日は、空が少しだけ曇っていました。

庭でいつも通り遊んでいたヒヨコ三兄弟でしたが、ヒヨコくんだけが、木の根っこにちょこんと座り込んでいました。

「どうしたピヨ? 当たり前ピヨって言わないピヨ?」

ぴもんくんが心配そうに、フィッシュアーモンドを一粒差し出します。

ヒヨコくんは、くちばしをぎゅっと結んだまま、首を横に振りました。

「今日は…なんだか、何をやってもダメな気がするピヨ…」

元気で、前向きで、いつも冒険を引っ張ってきたヒヨコくん。

でも今日は、羽が重くて、心もずしんと沈んでいました。

「うまくいかないときもあるピヨ」

ひよたくんは、そっとヒヨコくんの隣に座ります。

「でも、ポジティブにならなきゃって思うと、もっとつらくなるピヨ」

ヒヨコくんは、小さくつぶやきました。

「みんな、元気じゃないとヒヨコくんらしくないって言うピヨ。

元気のないボクは、ダメピヨ…」

その言葉を聞いたヒヨコママは、何も言わずに、ヒヨコくんをぎゅっと抱きしめました。

あたたかくて、やわらかくて、何も求めてこない腕の中。

「元気じゃなくていい日もあるのよ」

ヒヨコママは、静かに言いました。

「悲しいとき、無力に感じるとき、元気が出ないとき。

そんなときは、がんばらなくていいの」

ヒヨコパパも、コトリと腰を下ろします。

「落ち込むのは、ちゃんと向き合っている証拠だよ。

無理に立ち上がらなくていいから今日は休もう」

ヒヨコくんの目から、ぽろりと涙がこぼれました。

でもそれは、苦しい涙じゃなくて、ほっとした涙。

「…甘えていいピヨ?」

「もちろんピヨ」

ぴもんくんは、にこっと笑って隣にぴったりくっつき、

ひよたくんは、そっと背中をさすりました。

しばらくして、雲の切れ間から、やさしい光が差し込みます。

ヒヨコくんは、少しだけ深呼吸をしました。

「まだ元気じゃないけど…」

「それでいいピヨ」

「元気になったら、また一緒に前に進めばいいピヨ」

その日、ヒヨコくんは無理に笑いませんでした。

でも、心は少しだけ軽くなっていました。

ポジティブは、取り戻すもの。

押し付けるものじゃない。

そう、ヒヨコ三兄弟たちは知ったのです。

📝 ことばのおくりもの

いつも前向きでいなくていい。

落ち込む日、泣きたい日、何もしたくない日があっていい。

そんなときは、自分に「甘えていいよ」と言ってあげて。

ちゃんと休んで、心が動き出したら、

そのときに、またポジティブを迎えに行けばいいんだよ。

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)

ヒヨコくんが木の根っこでしょんぼりしているピヨ…。
でも、ぴもんくんとひよたくん、それにヒヨコママとヒヨコパパが、やさしく寄りそっているピヨ💛

「元気じゃない日があっても大丈夫ピヨ」

そんなあったかい気持ちが伝わってくる、やさしい絵本みたいなイラストだピヨ🐥🌳☁️✨

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