[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第31話「涙のあとに見えた光」

森の中を歩くヒヨコくんの足取りは、いつになく重たそうでした。

お気に入りだった金色のコインを、昨日なくしてしまったのです。

「どうしてボク、もっと気をつけなかったピヨ……」

肩を落とすヒヨコくんの目から、ぽろりと涙がこぼれました。

ぴもんくんが心配そうに近づいてきます。

「ヒヨコくん、大丈夫ピヨ? いっしょに探そうピヨ」

ひよたくんも小さな羽を広げて言いました。

「ボクも手伝うピヨ! きっと見つかるピヨ!」

三兄弟は夕暮れまで森じゅうを探しましたが、コインは見つかりませんでした。

帰り道、ヒヨコくんは静かに空を見上げました。

オレンジ色に染まった空が、優しく包み込むように広がっています。

そのとき、ヒヨコくんは気づきました。

――コインがなくなって悲しい気持ちの奥に、「大切だった」という想いがあったことに。

ぴもんくんとひよたくんが隣にいてくれることも、

「また明日もいっしょに探そう」と言ってくれた言葉も、

どれほどあたたかくて、かけがえのないものかを。

ヒヨコくんは涙をぬぐい、にっこり笑いました。

「うん……ボク、もう大丈夫ピヨ。大切なものがなんなのか、わかった気がするピヨ」

悲しみは、心を閉ざすためにあるのではなく、

本当に守りたいものを照らし出すために、そっと訪れるのかもしれません。

📝ことばのおくりもの

悲しみは、大切なものの価値を教えてくれる静かな先生です。

失う痛みの中でこそ、私たちは「何を大切にしていたのか」を深く理解します。

感情を拒まず、素直に受け入れることで、心は少しずつ成長し、

やがて自分の意思で未来へと歩み出す力になります。

※アイキャッチの説明

夕焼けの森で、ヒヨコくんがぽろっと涙をぬぐっているピヨ。

その横で、ふっくらぴもんくんとスタイのひよたくんが、そっと寄りそって見守っているピヨ。

オレンジ色の空とやさしい光に包まれて、「涙のあとにのこるもの」の文字がふんわり浮かんでいる、あったかい一枚ピヨ。

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