ある日、ヒヨコ三兄弟は、かけっこ対決をすることになりました。
普段からゆっくり歩く三兄弟、走るのもゆっくりで、誰が一番速いか競うというよりも、のんびり対決の予感。
「誰が一番早いか、決めるピヨ！」と長男のヒヨコくんが言い出し、三兄弟はスタートラインに並びました。
ヒヨコくんはお気に入りの500円玉を見つめ、「このおまもりがあればどんな試練もへっちゃらピヨ！」と、やる気が出た様子。
次男のぴもんくんは、「ゴールにはフィッシュアーモンドが待ってるピヨ！」と思い込み、よだれをためこみながらもやる気満々です。
末っ子のひよたくんは、「お兄ちゃんたちに負けないぞ！」としっかり準備体操をして、スタートを待ちます。
「よーい、ドン！」ピヨちゃんの合図で、三兄弟はちっちゃな足で「てちてち、てちてち」と進み始めました。
観客たちも「これは長い戦いになりそうだ…」と見守ります。
ゴールまでの距離は近いはずなのに、三兄弟は「てちてち」と少し進んでは立ち止まり、また「てちてち」と走るという、超スローペースに歩いているようです。
途中でぴもんくんは、フィッシュアーモンドの匂いがどこからか漂ってきた気がして、思わず立ち止まって鼻をくんくん。
「ぴもんくん、ゴールはあっちピヨ！」とひよたくんが声をかけると、「そうだったピヨ！」と気づいて、また「てちてち」と進み始めます。
結局、一番先にゴールにたどり着いたのはひよたくんでしたが、その差はほんのわずか。三兄弟は、それぞれゆっくりと進みながらも、最後まで「てちてち」とペースを乱さず楽しそうにゴールに向かい、みんな笑顔でお互いを褒め合いました。
「走り終わってわかったピヨ！速さじゃなくて、一緒に楽しむことが大事ピヨ！」とヒヨコくんが言うと、みんな「その通りピヨ！」と頷きながら、笑顔で集まりました。
こうして、のんびり「てちてち」歩いたヒヨコ三兄弟のかけっこ対決は、みんなで楽しくゴールを目指すという、ほっこりした結末となりました。
※タイトルのイラストは、木箱でできたお立ち台に乗っているひよたくんと、その両サイドで見守るヒヨコくんとぴもんくんです。
