前回、ヒヨコママへのプレゼントにと、四葉のクローバーを探したものの、見つけられずに三つ葉のクローバーを持ち帰ったヒヨコ三兄弟。
ママは三つ葉でもとても喜んでくれたけれど、三兄弟の心には「やっぱり四葉を見つけてママに渡したい!」という想いが残っていました。
そんなある朝のこと、ヒヨコくんが元気に言いました。
「ボクたち、もう一度四葉のクローバーを探しに行こうピヨ!」
「リベンジピヨね!」とぴもんくんもやる気まんまん。
「今回は絶対に見つけるピヨよ!」とひよたくんも力強くうなずきました。
さっそく三兄弟は、前よりももっと広い草原へと出発します。
風にのって、やさしい草のにおいがふわり。三兄弟は羽根を広げて、クローバーの中を一生けんめい探し始めました。
「こっちのクローバーはどうピヨ?」
「そっちは三つ葉ピヨね!」
「こっちは……やっぱり三つ葉ピヨ……」
手や羽根が泥だらけになるまで探し続けますが、なかなか四葉は見つかりません。
太陽が高くのぼるころ、三兄弟もちょっと疲れてきました。
「どうして見つからないピヨか……」とヒヨコくんがポツリ。
「お腹すいたピヨ……フィッシュアーモンドが食べたいピヨ……」とぴもんくんがぼそっとつぶやきます。
「でも、もう少しだけ頑張ろうピヨ!」
ひよたくんがふたりを励ました、そのときです。
――「あの、どうしたの?そんなに泥だらけになって。」
やさしくて、少しだけはにかんだ声が聞こえました。
顔をあげると、そこに立っていたのは、ふわふわの緑のドレスを着た、小さなクローバーの妖精――よつばちゃんでした。
「ボクたち、四葉のクローバーを探してるんですピヨ。でも、全然見つからなくて……」
三兄弟が事情を話すと、よつばちゃんはにっこり微笑みました。
「そうだったのね。だったら、私が手伝ってあげる。四葉のクローバーは、心のこもった願いにちゃんと応えてくれるの。」
そう言うと、よつばちゃんは小さな手で草の間をそっとなでるように歩き始めました。
風がふわりと吹いて、草が優しくゆれたその瞬間――
「ここにあるよ。」
よつばちゃんが指さした先に、きらきらと輝く四葉のクローバーが生えていたのです!
「わぁ!本当に四葉だピヨ!」
「すごいピヨ!すごいピヨ!」
「これならママがもっと喜んでくれるピヨね!」
三兄弟は大喜びで、よつばちゃんに何度もお礼を言いました。
「ありがとうピヨ!ボクたち、ママに届けてくるピヨ!」
「うん、きっとママも喜んでくれるよ。気をつけて帰ってね。」
やさしい声で見送ってくれるよつばちゃんに手を振りながら、三兄弟はうれしそうに家へと向かいました。
家では、ヒヨコママがにこにこ顔でお出迎え。
「まあ、また冒険に行ってきたのね。今日は何を見つけたの?」
「ママ、これをどうぞピヨ!」
ヒヨコくんが大事そうに差し出したのは、輝く四葉のクローバー。
「まあ!四葉のクローバーだなんて……とっても素敵!みんな、本当にありがとう!」
ママは三兄弟をぎゅっと抱きしめました。
そのぬくもりに包まれながら、三兄弟はそっとささやきます。
「ボクたちだけじゃ見つけられなかったけど、よつばちゃんが助けてくれたピヨね。」
「次はボクたちが誰かを助けられるようになりたいピヨ!」
「うん!もっともっとがんばるピヨよ!」
草原での小さな冒険と、妖精よつばちゃんとの出会いを胸に――
三兄弟はまたひとつ、大切な思い出を心にしまったのでした。
おしまい
※タイトルのイラストは、草原で、一生懸命四葉のクローバーを探しているヒヨコ三兄弟です。なかなか見つからなくて、みんな困った顔をしています。