ある日の午後、ヒヨコくんとぴもんくんがふとしたことで大ゲンカをしてしまいました。
ケンカのきっかけは、フィッシュアーモンドの取り合い。
「ボクのピヨ!」「いや、ボクのピヨ!」「フィッシュアーモンドはゆずれないピヨ!」「ちょっとくらいわけるピヨ!」と、ついには羽を広げて怒り合い。
いつも仲良しの2羽がこんなに険悪になるなんて、ひよたくんはびっくり!
その日は晩ご飯の時も、ヒヨコくんは「そっち見ないピヨ!」とプイッと横を向き、ぴもんくんも「ボクだってそっち見ないピヨ!」とプイッと背を向けます。
三兄弟が大好きでいつも大はしゃぎで観ているアニメを見ても、どちらも無言。
仲裁しようとしたひよたくんにさえ「ひよたくんは黙ってるピヨ!」とヒヨコくんが言い、「ボクたちの問題ピヨ!」とぴもんくんが反論。
ひよたくんはどうしたらいいか分からず、オロオロするばかりです。
「このままじゃ明日の約束が台無しピヨ……」
ひよたくんは心の中でため息をつきました。
その晩、ひよたくんは布団の中でじっと考え込みます。
「どうしてお兄ちゃんたちはこんなに怒っているピヨ……? ボクはみんなで楽しく過ごしたいだけなのに……」
小さなひよたくんの目には涙が浮かんでいました。
翌朝、ひよたくんは「なんとかしてお兄ちゃんたちを仲直りさせなくちゃ!」と心に決めました。
まず思いついたのは「仲直りクッキー大作戦」。
ひよたくんは早起きをしてキッチンに直行し、ヒヨコくんとぴもんくんの好きなクッキーを作ることにしました。
「これでお兄ちゃんたちが笑顔になるピヨ!」と張り切ってクッキーを焼き始めましたが、ひよたくんはお菓子作りが得意ではありません。生地をこねすぎたり、うっかり焦がしてしまったりして、できあがったクッキーはガチガチの固さに……。
それでも「お兄ちゃんたちが仲直りしてくれるなら!」と、ひよたくんは一生懸命作ったクッキーをヒヨコくんとぴもんくんに手渡しました。
しかし、ヒヨコくんは「硬すぎて食べられないピヨ……」と苦笑いし、ぴもんくんも「フィッシュアーモンドの方がいいピヨ」とボソリ。
ひよたくんの最初の作戦は失敗に終わりました。
次に考えたのは、三兄弟の楽しかった思い出を振り返ること。
家の中を探し回って昔の写真を集め、かわいいシールやカラフルなペンで飾りつけをしました。
「お兄ちゃんたち、これを見てほしいピヨ!」
ひよたくんは完成したアルバムを2人に見せました。
そこには、三兄弟が仲良く遊んでいる写真がいっぱい。「お兄ちゃんたちは、こんなに仲良しだったピヨ!」
しかし、ヒヨコくんは「それは昔の話ピヨ!」とそっぽを向き、ぴもんくんも「今は関係ないピヨ!」と突っぱねてしまいます。
ひよたくんの努力はむなしく、2人の態度は変わりませんでした。
「どうしてお兄ちゃんたちは、ボクの気持ちを分かってくれないピヨ……?」
作戦が失敗し、ひよたくんはとうとう泣き出してしまいました。
涙をポロポロこぼしながら、「ボクはただ……みんなで仲良く遊びたいだけなのに……」と呟きます。
その姿を見て、ヒヨコくんとぴもんくんは、初めて自分たちがどれだけひよたくんを傷つけていたのかに気づきました。
「ひよたくん……ボクたち、なんてひどいことをしちゃったんだピヨ……」
「ボクたちのケンカのせいで、ひよたくんをこんなに悲しませるなんて……ごめんピヨ……」
ヒヨコくんはぴもんくんに向かって、「昨日は言い過ぎたピヨ……ごめんピヨ」と謝り、ぴもんくんも「ボクも意地を張りすぎたピヨ……ごめんピヨ」と頭を下げました。
その後、2人はひよたくんの方を向き、「ひよたくん、ごめんピヨ! ボクたち、反省したピヨ」と心から謝りました。
ひよたくんは涙を拭いながら、「もういいピヨ! お兄ちゃんたちが仲直りしてくれたら、それでボクはうれしいピヨ!」と笑顔を見せました。
その後、三兄弟は庭で大はしゃぎ。冒険ごっこをしながら、ヒヨコくんは「次はフィッシュアーモンドの山を探すピヨ!」と笑い、ぴもんくんは「500円玉の宝物も見つけるピヨ!」と張り切ります。
ひよたくんは、そんなお兄ちゃんたちを見て胸をなでおろし、「やっぱりお兄ちゃんたちはこうじゃなきゃピヨ!」と嬉しそうに微笑みました。
こうして三兄弟の絆はさらに深まり、また一つ幸せな思い出が増えたのでした。
※タイトルのイラストには羽を広げて喧嘩をしているヒヨコくんとぴもんくんがら描かれています。