ある日の朝、ヒヨコママが三兄弟を集めて言いました。
「今日はカレーライスを作る予定よ。でも材料が少し足りないの。おつかいをお願いできるかしら?」
「ボクが行くピヨ!」と、真っ先に手を挙げたのはぴもんくん。
「ぴもんくん、一人で行けるかしら?」とヒヨコママが心配そうに尋ねると、ぴもんくんは胸を張って言いました。
「ボクに任せてピヨ!ちゃんとカレーの材料を買ってくるピヨ!」
ヒヨコママからメモを渡されます。
「買うのは、にんじん、じゃがいも、たまねぎ、それからカレールーよ。これを忘れないでね。」
おつかいスタート
メモを握りしめて、ぴもんくんは元気よくお家を出発しました。
「カレーの材料を買うだけピヨ!簡単なお仕事ピヨ!」
けれど、道を歩き始めてすぐに誘惑が……。お店の前に貼られた「新発売!チョコクッキー」のポスターが目に飛び込んできたのです。
「わぁ、あのクッキーおいしそうピヨ……!」
ぴもんくんの足が、思わずお店の方へ向かいかけます。しかし、頭の中にヒヨコママの声が響きました。
「ぴもんくん、カレーの材料を忘れないでね。」
ぴもんくんはぐっと我慢して、お店を通り過ぎました。「ボクはカレーの材料を買うピヨ!」
八百屋さんでの試練
まず向かったのは八百屋さん。
「すみませんピヨ!にんじんとじゃがいもとたまねぎくださいピヨ!」
店主のおじさんがにっこり笑って、ぴもんくんに袋を渡しました。
「はい、これで全部だよ。でも君、今日だけの特売で、このりんごがすごく甘くておいしいんだよ!」
ぴもんくんの目がキラキラと輝きます。
「おいしそうピヨ……でも、ダメピヨ!」
ぴもんくんはりんごをじっと見つめながらも、ぐっとこらえてお金を払い、お礼を言って八百屋さんを出ました。
スーパーでの誘惑
次に向かったのはスーパー。
「カレールーはどこピヨ?」と探していると、お菓子コーナーからおいしそうな匂いが漂ってきました。
「クッキー、チョコレート、キャンディ……どれもおいしそうピヨ……!」
ぴもんくんの足が、気づけばお菓子コーナーに吸い寄せられています。手に取ったのは、大好きなフィッシュアーモンド!
「これだけならいいピヨ……」とレジに向かおうとしたその時、またヒヨコママの声が頭の中で響きます。
「ぴもんくん、カレーの材料を忘れないでね。」
「いけないピヨ!」と気づいたぴもんくんは、急いでフィッシュアーモンドを棚に戻しました。そして、無事にカレールーをカゴに入れてお会計を済ませました。
お家に帰って
おつかいを終えて、ぴもんくんは無事に家に帰りました。
「ヒヨコママ、これで全部ピヨ!」と、誇らしげに袋を差し出します。
ヒヨコママはにっこり笑って、「ありがとう!これでおいしいカレーが作れるわ。」と言いました。
その時、ヒヨコくんが不思議そうに言いました。
「ぴもんくん、なんだかいつもより疲れてるピヨ?」
ぴもんくんは、はぁっとため息をつきながら言いました。
「誘惑がいっぱいで大変だったピヨ……でも、ボク頑張ったピヨ!」
その日の晩ご飯は、家族みんなでおいしいカレーを囲みました。
「ぴもんくん、ありがとうピヨ!」とヒヨコくんとひよたくんが声を揃えます。
ぴもんくんはほっと一息ついて言いました。
「ボク、お菓子を我慢した分、カレーがとってもおいしいピヨ!」
みんなで笑い合いながら食べたカレーは、いつもよりさらにおいしく感じられるのでした。