ある日のこと。
ヒヨコ三兄弟は森の広場で、仲間たちと遊んでいました。
すると、小さなすれ違いから、ぴもんくんとエルちゃんが言い合いになってしまいました。
「それはボクのフィッシュアーモンドだピヨ!」とぴもんくん。
「ちがうよ!落ちていたのを拾ったのは私だよ!」とエルちゃん。
どちらも間違ってはいません。拾ったのはエルちゃん、でも元々ぴもんくんのものだったのです。
ヒヨコくんはその様子を見て、「ボクが決めるピヨ!」と胸を張りました。
「ぴもんくんのものなんだから、返すのが正しいピヨ!」
堂々と言い切ったヒヨコくんの言葉に、エルちゃんは涙をこぼして走り去ってしまいました。
残された広場には、しんとした空気が流れました。
「ヒヨコくん…正しいことを言ったはずなのに、なんだか胸が痛いピヨ」
そうつぶやいたのは、ひよたくんでした。
その夜。
ヒヨコ三兄弟は星を見上げながら話し合いました。
「正しいことを言えば、みんな幸せになると思ったピヨ」
「でも、エルちゃんは傷ついたピヨ」
「正しさを振りかざすと、相手を斬る剣みたいになってしまうのかもしれないピヨ」
ひよたくんは静かに言いました。
「本当に大切なのは、正しさよりも、相手を思いやる気持ちなんだと思うピヨ。
正しさを剣にするんじゃなくて、心をつなぐ橋にできたら…きっとみんな笑顔になれるピヨ」
次の日、三兄弟はエルちゃんに会いに行きました。
「昨日はごめんピヨ。ボク、エルちゃんを傷つけちゃったピヨ」
エルちゃんは涙ぐみながらも、小さく笑いました。
「ありがとう。私も怒ってしまってごめんね」
その瞬間、三兄弟とエルちゃんの間に、柔らかくて温かい空気が戻ってきたのでした。
📝ことばのおくりもの
正しさは剣にもなり、橋にもなります。
人を斬れば憎しみを生み、人を思えば心をつなぐ。
正しさをどう使うかで、未来は変わるのです。

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