[ひよこものがたり]ことばのおくりもの第36話「きゅうくつなひとこと」

ある日の午後、ヒヨコ三兄弟は森の広場でかくれんぼをしていました。

「ボク、もう少しこっちに隠れようピヨ!」とヒヨコくん。

ぴもんくんは木の影に隠れながらフィッシュアーモンドをポリポリ。

ひよたくんは、鬼の番をしながら数を数えていました。

「いーち、にー、さーん……」

そこへ、近所のおばさんヒヨコが通りかかりました。

羽を腰に当てながら、ちょっぴり眉をひそめて言いました。

「まぁ、あんたたちまた遊んでるの?

お勉強もしないで、そんなことばっかりしてちゃダメよ」

ヒヨコくんは首をかしげました。

「でもボクたち、遊びながら考えるのが好きピヨ!」

「そんなの言い訳よ。昔の子はもっとしっかりしてたんだから」と、おばさん。

そのとき、ぴもんくんがぽそっと言いました。

「この間、おばさんもお花見で一日中おしゃべりしてたピヨ……?」

「そ、それは……大人の社交よ!」とおばさんは少し顔を赤くしました。

ひよたくんが静かに言いました。

「おばさん、ボクたちも反省するけど……

人に言う前に、自分も見直すって大事かもしれないピヨ」

おばさんはハッとしました。

「……そうねぇ。人のことばっかり言って、自分のこと見てなかったわ」

おばさんは少し笑って言いました。

「さぁ、見つけたら教えてちょうだい。今度は私も鬼に混ぜて!」

そして、森の広場にはまた笑い声が響きました。

人を正すより、自分を見つめること――

その優しさが、世の中を少しやわらかくするのです。

📝ことばのおくりもの

世の中が窮屈に感じるのは、

「他人を正そう」とする人が増え、

「自分を省みる」人が減ってしまったからかもしれません。

本当の優しさは、他人を責める言葉ではなく、

自分を見つめて静かに整える姿の中にあります。

人の欠点を数えるより、

自分の心をひとつ整える。

それが、世界を少し自由にする力となるのです。

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)

まん丸おめめのヒヨコが、きゅうくつな巣の中でちょこんと座ってるピヨ。

ほっぺはほんのり赤くて、青いくつしたと赤い本、マグカップがそばにあるピヨ。

上には「きゅうくつなひと言」って書いてある、あったかい絵本みたいなイラストだピヨ🐣

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