ある日の午後。
ヒヨコくんは広場のまんなかで、胸を張って立っていました。
「今日はボクが、みんなを引っぱるピヨ!」
当たり前ピヨ!…と言いたいところでしたが、
ヒヨコくんの胸は、どきどきと小さく震えていました。
今日はアニマルランドのお祭りの日。
ヒヨコくんは代表として、合図の太鼓を鳴らす大役を任されていたのです。
(失敗したらどうしようピヨ…)
そんな不安を、ヒヨコくんはぎゅっと飲み込みました。
「ボクならできるピヨ!」
そう言って、太鼓の前に立ちます。
――ドン!
…のはずが。
「スカッ」
太鼓のバチが、つるんとすべって地面に落ちてしまいました。
しん……と静まる広場。
みんなの視線が、一気にヒヨコくんに集まります。
ヒヨコくんの顔が、みるみる赤くなりました。
胸の奥が、きゅっと苦しくなります。
(ボク、失敗したピヨ……)
そのとき、後ろから小さな声が聞こえました。
「ヒヨコくん……」
振り返ると、ぴもんくんとひよたくんが、心配そうに見ていました。
ヒヨコくんは、一度ぎゅっと目を閉じました。
そして、深く息を吸います。
「……ごめんピヨ。でも、もう一回やらせてほしいピヨ!」
広場がざわっとします。
でもヒヨコくんは、逃げませんでした。
落ちたバチを拾い、
今度は両足をしっかり地面につけ、
太鼓をまっすぐ見つめます。
(さっきの失敗、ムダじゃないピヨ)
(すべった理由も、力の入れ方も、もうわかったピヨ)
――ドンッ!!
今度は、空に響くような、力強い音。
「わあっ!」
「すごい!」
広場いっぱいに、拍手が広がりました。
ヒヨコくんの胸の中で、なにかがぽっとあたたかくなります。
失敗したからこそ、
どうしたらうまくいくか、ちゃんと考えられた。
逃げなかったからこそ、
自分の足で立てた。
ヒヨコくんの出番が終わるころ、
ヒヨコくんは少しだけ誇らしそうに笑っていました。
「ころんでも、立ちあがればいいピヨ!」
「それが、前に進むってことピヨ!」
その姿を見て、みんなも、そっと勇気をもらったのでした。
📝 ことばのおくりもの
失敗は、終わりではありません。
それは「だめだった証」ではなく、
次にうまくいくための、大切なヒントです。
ころんだとき、恥ずかしくなったとき、
「もう一回やってみよう」と思えたなら、
その瞬間から、もう成功への道は始まっています。
失敗しても大丈夫。
立ちあがろうとしたあなたは、
すでに前に進んでいます。
※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)
ころんでもあきらめないヒヨコくんが、たいこをたたこうとしているピヨ!
バチをおとしてびっくりしてるけど、もういちどがんばる顔がとってもかっこいいピヨ!
うしろでぴもんくんとひよたくんも、ドキドキしながら応援してるピヨ〜!

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