[ひよこものがたり]ことばのおくりもの第54話「こころの色めがね」

ある日の午後、アニマルランドの広場では、あたらしい遊具のおひろめ会が開かれていました。

それは、見たこともない不思議なかたちのすべり台。

「なんだか、へんピヨ……」

ヒヨコくんは、くちばしをちょこんととがらせました。

色は地味だし、いつものすべり台みたいにピカピカしていません。

「ボク、あんまり好きじゃないピヨ」

そう言って、くるりと背を向けます。

すると、ぴもんくんがのそのそ近づいてきました。

「でもねぇ、これねぇ、ころんでもいたくないように作ってあるんだってピヨ」

触ってみると、たしかにふわっとやわらかい。

ひよたくんは、説明の立て札をじっと読んでいました。

「これね、高いところがこわい子や、足がよわい子でも、安心して遊べるように考えられたすべり台なんだってピヨ」

ヒヨコくんは、はっとしました。

さっきまで「好きじゃない」「へんだ」と思っていた気持ちが、胸の中で少し揺れます。

そのとき、車いすに乗った小さなリスくんがやってきました。

そっとすべり台に近づき、係のおじさんに手伝ってもらいながら、ゆっくり、すーっと滑ります。

「わあ……!」

リスくんの顔が、ぱっと花みたいに笑いました。

それを見たヒヨコくんは、胸がきゅっとしました。

「ボク……見た目とか、ボクの好みだけで、ダメって決めちゃってたピヨ」

ヒヨコママが、そっとそばに来て言いました。

「感じた気持ちは大切よ。でもね、その気持ちだけで“良い・悪い”を決めなくてもいいの」

「だれのために、なんのために作られたのか、頭でも考えてみると、見えるものが変わるわ」

ヒヨコくんは、もう一度すべり台を見ました。

さっきとは、ちがう色に見えました。

「……これは、やさしいすべり台ピヨ!」

そう言って、ヒヨコくんはにっこり笑いました。

📝 ことばのおくりもの

好き・きらいの気持ちは、心から自然に生まれるもの。

でも、それだけで物事の良し悪しを決めてしまうと、

大切な理由や、だれかの思いやりを見落としてしまうことがあります。

感情はいったん胸に置いて、

「これは何のため?」「だれの役に立つ?」と、頭で考えてみよう。

心と頭、両方を使って考えられる人は、

やさしくて、つよい人です。

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)

ふわふわやさしい色のアニマルランドで、ヒヨコ三兄弟とヒヨコママがいるピヨ♪
まんまるおめめで、ほっぺぽかぽか、みんなでやさしいすべり台を見てるピヨ〜🐥

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