アニマルランドの海辺では、朝になると潮風がふわっと町を包みます。
その日、ヒヨコ三兄弟は浜辺をてちてち歩いていました。
「今日はいい天気ピヨ〜!」
ヒヨコくんが羽を広げます。
「おなかすいたピヨ〜」
ぴもんくんは、いつものようにおやつのことを考えています。
「海の音って落ち着くピヨねぇ」
ひよたくんは小さな本を抱えながら、静かに波を見ていました。
すると向こうから、よいちゃんがやってきました。
「みんな、おはよう〜♪」
今日のよいちゃんは、なんだかそわそわしています。
「どうしたピヨ?」
ヒヨコくんが聞くと、よいちゃんは少し照れながら言いました。
「実はね……わたし、夢があるの」
「夢!?」
三兄弟がそろって目を丸くします。
「うん。水族館のイルカショーのトレーナーさんになりたいの」
「おお〜っ!」
ヒヨコくんがぴょこんと飛び上がりました。
「イルカさんとジャンプするやつピヨ!?」
ぴもんくんも興味津々です。
よいちゃんはうなずきました。
「小さいころに見たイルカショーが、ずっと忘れられなくて。イルカさんたちがキラキラしてて、お客さんもみんな笑顔で……わたしも、あんなふうに誰かを笑顔にしたいなって思ったの」
ひよたくんは感心したように言いました。
「すてきな夢ピヨね」

でも、よいちゃんは少しだけ困った顔になります。
「ただね……泳ぐのは好きなんだけど、まだまだ上手じゃないし、大きな声を出すのも苦手なの」
「夢って、ちょっと怖いピヨねぇ」
その言葉に、みんな静かになりました。
するとヒヨコくんが言いました。
「でも、“やってみたい”って思えるの、すごいことピヨ!」
ぴもんくんもうなずきます。
「ぼくなんて、“巨大フィッシュアーモンドタワーを食べる夢”しかないピヨ」
「それは夢というより食欲ピヨ」
ひよたくんがすかさずツッコミを入れました。
みんなが笑うと、よいちゃんもくすっと笑いました。

その日の午後。
みんなは浜辺で、“イルカショーごっこ”をすることになりました。
「ぼくがイルカ役ピヨ!」
ヒヨコくんが勢いよくジャンプします。
「じゃあぼくは観客ピヨ!」
ぴもんくんは座って拍手係です。
「それ、ただ見てるだけピヨ」
ひよたくんが呆れている間に、よいちゃんは深呼吸をしました。
「みなさーん! 本日はアニマルランドマリンショーへようこそ〜!」
最初は少し小さかった声も、だんだん明るくなっていきます。
ヒヨコくんが砂浜でぴょーん!
「おお〜〜〜っ!!」
ぴもんくんが全力で拍手します。
よいちゃんは、少しずつ恥ずかしさを忘れていきました。
風がふわりと吹いて、海がきらきら光ります。

その時、よいちゃんは思いました。
――まだ上手じゃなくてもいい。
――今は小さな一歩でもいい。
“なりたい”って気持ちを大切にしていたら、きっと夢に近づいていけるんだ。
ショーごっこが終わるころには、よいちゃんの顔は朝よりずっと明るくなっていました。
「ありがとう、みんな」
「いつか本物のショー、見せてほしいピヨ!」
ヒヨコくんが言います。
「最前列で見るピヨ!」
ぴもんくんが羽をぶんぶん振りました。
ひよたくんも、にっこり笑います。
「きっと、すてきなトレーナーさんになるピヨ」
夕焼けの海の向こうで、カモメたちがゆっくり飛んでいました。
よいちゃんは、その空を見上げながら、小さくつぶやきます。
「よーし……がんばるぞ♪」

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)
うみかぜがきもちいい浜辺で、ヒヨコ三兄弟とよいちゃんがにこにこごあいさつしてるピヨ〜!
ヒヨコくんはコインを持って元気いっぱいピヨ!
ぴもんくんはおさかなをぎゅ〜ってしてるピヨ〜!
ひよたくんは本を読んでおりこうさんピヨ!
よいちゃんはうれしそうに手をひろげて、みんなをおむかえしてるピヨ〜♪

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