アニマルランドの広場に、
その日は特別な風が吹いていました。
砂がさらさらと鳴り、
丁寧に組まれた小さな土俵のまわりには、
色とりどりのヒヨコたち。
「ヒヨコ限定! ピヨピヨ相撲大会」
その文字を見た瞬間――
ヒヨコくんの目は、きらーん!と輝きました。
「相撲ピヨ!? 押し合いピヨ!?
強い方が勝ちピヨ!? 当たり前ピヨ!!」
「……勝ったら、なにかもらえるピヨ?」
ぴもんくんは、すでに受付横の
参加賞:ひまわりクッキー の文字を見ています。
「えっと……転けてしまうのと土俵の外に出ちゃうと負けピヨね」
ひよたくんは、注意書きを一枚ずつ確認。
そこへ、
少し眠たそうな目をしたヒヨコが歩いてきました。
「……わたしも、出場するピヨ」
声は低く、落ち着いていて、
でもやる気はありそう?
「お、ピヨちゃんもピヨ!?」
ヒヨコくんがはしゃぎます。
「……眠いけど、面白そうピヨ」
🐣集まったヒヨコたちピヨ
この大会、参加条件はひとつ。
「ヒヨコであること」
その結果、
個性のかたまりみたいな8羽が集まりました。
ヒヨコくん
勢いと元気は誰にも負けないピヨ。
ぴもんくん
ふっくら体型、地面に根を張る安定感ピヨ。
ひよたくん
冷静沈着、相撲ノートがあったら絶対書いてるピヨ。
ピヨちゃん
クール。半目。眠そう。でも鋭いピヨ。
ダッシュくん
開始0.1秒が人生のピークピヨ。
ぐらぐらくん
体は大きいが、足元が信用ならないピヨ。
もふまるくん
全身もふもふ。押すと跳ね返るピヨ。
ねぼすけくん
試合前からあくび連発。
「起きたら本気ピヨ」が口癖ピヨ。
太鼓が鳴ります。
どんっ!!
🥊第一回戦
第一試合
ヒヨコくん vs ダッシュくん
「はっけよーい……」
ピヨッ!!
開始の声と同時に、
ダッシュくんが風みたいに飛び出しました。
「速っ!? 速すぎピヨ!!」
ヒヨコくん、反射的に踏ん張る。
ポスっ!!
羽と羽がぶつかる音。
砂が舞い、会場がどよめく。
……次の瞬間。
「ピヨッ!? 止まれないピヨーー!!」
ダッシュくん、勢い余って
ヒヨコくんの横をすり抜け――
ずざーーーーっ!!
土俵の外。
「……あれ?」
ヒヨコくん、勝利を理解するまで一拍遅れ。
「当たり前ピヨ!!」
第二試合
ひよたくん vs ぐらぐらくん
ひよたくんは低く構える。
ぐらぐらくんは左右に揺れる。
ポスっ。
ぶつかった瞬間、
ぐらぐらくんの足が砂に沈む。
「……今ピヨ」
ひよたくん、重心を崩さず、
体重を預けるように押す。
ぐらっ……ぼふん。
「ま、参ったピヨ〜」
第三試合
ぴもんくん vs もふまるくん
もふっ。
もふるっ。
押しても、返る。
返しても、吸収される。
「……おお」
ぴもんくん、ちょっと感心。
でも、焦らない。
「えいしょ……えいしょ……」
一定のリズム。
ふっくらした体が、少しずつ前へ。
ころん。
もふまるくん、転がる。
「もふ〜……」
第四試合
ピヨちゃん vs ねぼすけくん
🌙眠たい者同士ピヨ🌙
土俵に上がる二羽。
ピヨちゃん:半目。
ねぼすけくん:ほぼ閉眼。
「はっけよーい……」
「……」
「……」
……ピヨ?
まだ、動かない。
「のこった!」
「……ふぁぁ」
「……ん」
同時に、一歩。
ぽすん。
ぶつかった音が、やけに静か。
押す。
止まる。
ふらつく。
ねぼすけくんが、
ぐらっ。
「……あ」
ぺたん。
そのまま――
すぴー……
「……勝ったピヨ」
ピヨちゃん、そっと手を挙げる。
拍手は、なぜか小さめ。
起こさないように。
🏅 準決勝
ヒヨコくん vs ひよたくん
「いくピヨーー!!」
ドン!!
真正面からの激突。
砂が舞い、
二羽の足がぐっと沈む。
「強いピヨ……!」
ヒヨコくんは押す。
全力で押す。
でも――
びくっ。
ひよたくんは、ほとんど動かない。
「……力だけじゃ、押せないピヨ」
静かな声。
次の瞬間。
ひよたくん、ほんの少し体をずらす。
「前のめりピヨ」
ヒヨコくんの力が、空を切る。
ぐらっ。
「うわっ――」
すってん!!
土俵の外へ。
「くやしいピヨーー!!」
でも、どこか楽しそう。
ひよたくんは、そっと一礼。
⸻
ぴもんくん vs ピヨちゃん
静かな対決。
「……いくピヨ」
「……どうぞピヨ」
ポヨン。
重たい音。
ぴもんくんは動かない。
ピヨちゃんは、動かす。
横へ。
するり。
また正面。
「……読んでるピヨ」
ピヨちゃんの目が、少しだけ細くなる。
ぴもんくんは、焦らない。
「えいしょ……えいしょ……」
一定のリズム。
押すでもなく、
止まるでもなく、
ただ“進む”。
じわっ……
ピヨちゃんの足が、少しだけ滑る。
「……重いピヨ」
その一言。
ポヨン。
ほんの少しの押し返し。
でもさらに押し返されたのが、決定的。
ピヨちゃん、ふわりとバランスを崩し――
とん。
土俵の外へ。
「……負けたピヨ」
悔しそうでもなく、
でもちゃんと認める顔。
ぴもんくんは、ぺこり。
⸻
🌟 決勝戦
ぴもんくん vs ひよたくん
空気が変わる。
さっきまでの賑やかさが、
すっと静まる。
「……よろしくピヨ」
「……よろしくピヨ」
二羽とも、低く構える。
ポヨンっ!!
重い衝突。
今までで一番、重い音。
ぴもんくんは押す。
ひよたくんは支える。
ぎり……
足が土に沈む。
「……さっきより、重いピヨ」
ひよたくんが小さくつぶやく。
ぴもんくんは何も言わない。
ただ、同じリズム。
えいしょ……
えいしょ……
変わらない。
変えない。
「……崩れないピヨ」
ひよたくんは考える。
どう崩すか。
横へずらす。
引くふりをする。
でも――
「……きかないピヨ」
ぴもんくんは、誘いに乗らない。
ただ前へ。
じわ……
じわ……
「……これは……」
ひよたくんの足が、
ほんの少しだけ、後ろへ。
その瞬間。
とん。
ぴもんくんが、少しだけ強く押す。
ぐらっ。
耐える。
でも、間に合わない。
とん。
⸻
🏆 優勝:ぴもんくん 🏆
「……やったピヨ」
小さな声。
でも、誰よりも揺れない。
ヒヨコくんは笑い、
「ぴもんくんすごいピヨー!!」と飛び跳ね、
ひよたくんは静かにうなずき、
「……完敗ピヨ」
ピヨちゃんは目を細め、
「……強かったピヨ」
ねぼすけくんは――
「……優勝おめでと……すぴー……」
まだ寝ていました。
⸻
🌇 帰り道ピヨ
夕焼けの道。
みんなで並んで歩く帰り道。
土の感触が、まだ足に残っている。
「くやしかったピヨ〜!」
ヒヨコくんが空に向かって叫ぶ。
「でも楽しかったピヨ!」
「……両方、大事ピヨ」
ひよたくんがぽつり。
ぴもんくんは、もぐもぐ。
「……おいしいピヨ」
ひまわりクッキー。
「それ、優勝者の分ピヨ!?」
「……ちょっと多めにもらったピヨ」
ピヨちゃんは、少し後ろを歩く。
「……またやりたいピヨ」
小さな声。
でも、ちゃんと聞こえた。
ねぼすけくんは、
歩きながら寝ています。
「……器用ピヨ……」
みんな、くすっと笑う。
空はゆっくりとオレンジから紫へ。
今日の勝ち負けも、
悔しさも、楽しさも、
ぜんぶ包み込むみたいに。

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)
わらのどひょうの上で、
ヒヨコたちがぎゅーっとおしあいしてるピヨ!🐣
まんなかでは、ふたりがくちばしをくっつけて
ちからくらべしてるピヨね。
うしろでは、おともだちたちが
にこにこ見守ってるピヨ〜✨
上には「ピヨピヨ相撲大会」の文字と
トロフィーもあって、
とってもにぎやかで楽しい大会ピヨ🏆

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