[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第25話「ひとことの勇気 🌼」

ひよこものがたり

ある日の午後。

ヒヨコ三兄弟は、森の広場でお友達と一緒にあそんでいました。

ひよたくんは木の枝で絵を描き、ぴもんくんはおやつを配り、ヒヨコくんはみんなをまとめてゲームを考えていました。

「じゃあ、鬼ごっこするピヨ! みんな、逃げてピヨ〜!」

ヒヨコくんの声に、みんなが元気よく走り出しました。

でも──

ぴもんくんが転んだとき、ヒヨコくんは夢中で追いかけていて気づきません。

ぴもんくんは少しすりむいて、ひよたくんがあわててかけよります。

「ヒヨコくん……ぴもんくん、ちょっと痛そうだよピヨ。」

けれど、ヒヨコくんは痛そうな様子に気づかず笑っています。

「大丈夫ピヨ! ぴもんくん、強いピヨ!」

ひよたくんの胸の中に、もやもやが広がりました。

(言ったほうがいいのかな……でも、せっかく楽しんでるのに気まずくなったらイヤだピヨ……)

だけど、ぴもんくんがうつむいたまま、おやつを見つめているのを見て、ひよたくんは小さく息を吸いました。

「ヒヨコくん、ちょっといいピヨ? ボク、言いにくいんだけど……」

「ん? なにピヨ?」

「ぴもんくん、けがしてるのに……“大丈夫”って言うのはちょっと違うと思うピヨ。

ヒヨコくんは優しいから、気づいてあげてほしいピヨ。」

ヒヨコくんははっとして、ぴもんくんを見ました。

「ごめんピヨ! 気づかなかったピヨ!」

ぴもんくんはにっこり笑って、「平気だピヨよ。ありがとピヨ、ひよたくん」と言いました。

そのあと、ヒヨコくんはぴもんくんの手を取り、いっしょに家まで歩きました。

広場にはあたたかい風が吹き、ひよたくんの心にもやさしい光がさしました。

──言いにくいことを言うのは、勇気がいる。

でも、それは誰かを想う気持ちの、いちばん深いかたちなのです。

📝 ことばのおくりもの

本当の優しさは、沈黙の中にはありません。

ときに、言いにくい言葉を伝えることが、いちばんの思いやりになります。

相手を傷つけないように選んだ「ひとことの勇気」が、

やがて信頼を育て、絆を強くしてくれるのです。

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