[ひよこものがたり]ことばのおくりもの第38話「出会いは彫刻刀」

ある春の日のこと。

ヒヨコ三兄弟は、森の奥にある「おしゃべり石」のところへ遊びに行っていました。

「ねぇねぇ、この石、話しかけると返事してくれるんだってピヨ!」とヒヨコくん。

「ほんとピヨ?ボク、ちょっと聞いてみるピヨ!」とぴもんくんが石の前に立ちました。

「こんにちは、石さん。ボク、お腹がすいたピヨ!」

すると石が小さな声で言いました。

「食いしん坊くん、君は“楽しむこと”の天才だね。」

次にひよたくんが聞きました。

「石さん、ボクってどんなヒヨコピヨ?」

石はにっこりとしたように、静かに返しました。

「君は“優しさの形”を持っているよ。」

最後にヒヨコくんが話しかけました。

「じゃあボクはどんなヒヨコピヨ?」

石は少し間をおいて、こう言いました。

「好奇心いっぱいの君は“出会い”で変わるヒヨコさ。たくさんの誰かと出会ったり経験をしたりするたび、心の形が少しずつ磨かれていく。」

その言葉を聞いた三兄弟は顔を見合わせました。

ぴもんくんがぽつりとつぶやきます。

「出会うって、ただの偶然じゃないピヨね。」

ひよたくんもうなずいて、

「ボクたちが今こうして一緒にいるのも、きっと“心を彫る出会い”なんだピヨ。」

ヒヨコくんはにっこり笑って、コインを小さな羽の上で転がしました。

「じゃあこれから出会うみんなにも、ピカピカに磨いてもらおうピヨ!」

夕日が差し込み、三羽の影がゆっくりと森の小道を照らしていきました。

その光は、まるで“これから出会う未来の形”を映しているようでした。

📝ことばのおくりもの

「出会いこそ、自己を形作る彫刻刀である。」

人は、出会いによって心を削られ、磨かれ、そして美しく形づくられていきます。

嬉しい出会いも、痛みを伴う出会いも、すべてがあなたという作品を彫り上げる一刀です。

どんな出会いも、あなたをより深く、より温かくしてくれる――そのことを忘れずに。

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)

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