ある日の午後、アニマルランドの広場では、あたらしい遊具のおひろめ会が開かれていました。
それは、見たこともない不思議なかたちのすべり台。
「なんだか、へんピヨ……」
ヒヨコくんは、くちばしをちょこんととがらせました。
色は地味だし、いつものすべり台みたいにピカピカしていません。
「ボク、あんまり好きじゃないピヨ」
そう言って、くるりと背を向けます。
すると、ぴもんくんがのそのそ近づいてきました。
「でもねぇ、これねぇ、ころんでもいたくないように作ってあるんだってピヨ」
触ってみると、たしかにふわっとやわらかい。
ひよたくんは、説明の立て札をじっと読んでいました。
「これね、高いところがこわい子や、足がよわい子でも、安心して遊べるように考えられたすべり台なんだってピヨ」
ヒヨコくんは、はっとしました。
さっきまで「好きじゃない」「へんだ」と思っていた気持ちが、胸の中で少し揺れます。
そのとき、車いすに乗った小さなリスくんがやってきました。
そっとすべり台に近づき、係のおじさんに手伝ってもらいながら、ゆっくり、すーっと滑ります。
「わあ……!」
リスくんの顔が、ぱっと花みたいに笑いました。
それを見たヒヨコくんは、胸がきゅっとしました。
「ボク……見た目とか、ボクの好みだけで、ダメって決めちゃってたピヨ」
ヒヨコママが、そっとそばに来て言いました。
「感じた気持ちは大切よ。でもね、その気持ちだけで“良い・悪い”を決めなくてもいいの」
「だれのために、なんのために作られたのか、頭でも考えてみると、見えるものが変わるわ」
ヒヨコくんは、もう一度すべり台を見ました。
さっきとは、ちがう色に見えました。
「……これは、やさしいすべり台ピヨ!」
そう言って、ヒヨコくんはにっこり笑いました。
📝 ことばのおくりもの
好き・きらいの気持ちは、心から自然に生まれるもの。
でも、それだけで物事の良し悪しを決めてしまうと、
大切な理由や、だれかの思いやりを見落としてしまうことがあります。
感情はいったん胸に置いて、
「これは何のため?」「だれの役に立つ?」と、頭で考えてみよう。
心と頭、両方を使って考えられる人は、
やさしくて、つよい人です。
※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)
ふわふわやさしい色のアニマルランドで、ヒヨコ三兄弟とヒヨコママがいるピヨ♪
まんまるおめめで、ほっぺぽかぽか、みんなでやさしいすべり台を見てるピヨ〜🐥

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