ある日の午後、ヒヨコくんはふと足を止め、青く澄んだ空を見上げました。
高く舞う鳥たちが、気持ちよさそうに風に乗って飛んでいます。
「僕も、あんな風に空を自由に飛びたいピヨ…!」
目を輝かせながらつぶやいたヒヨコくんは、すぐに飛ぶための挑戦を始めました。
後ろ足で力いっぱいジャンプしてみたり、小さな羽をバタバタさせたり…
「えいっ!」
「もう一回ピヨ!」
何度も何度も試しましたが、ふわりと浮くことさえできません。
それどころか、勢い余ってころんと転んでしまいました。
「うぅ…どうして僕は飛べないピヨ…!こんなに頑張ってるのに…!」
ヒヨコくんの目に、ぽろぽろと涙が浮かびました。
悔しさがこみ上げ、地面に座り込んでしまいます。
そんなヒヨコくんの様子を見ていたヒヨコママが、そっとそばに寄り添い、優しく抱きしめました。
「ヒヨコくん、飛べないことにがっかりしなくてもいいのよ。」
ヒヨコくんは涙をぬぐいながら、ヒヨコママの顔を見上げました。
「地面にはね、ヒヨコくんにしか見つけられない素敵なものがたくさんあるの。」
ヒヨコママは優しく微笑みながら続けます。
「空は確かに美しいけれど、地面だってとても広くて楽しい場所なのよ。
昨日見つけた四葉のクローバーや、小さくて可愛いお花。
あれもみんな、地面にあるから見つけられたんだよ。」
ヒヨコくんは少し考えて、そっと足元に目を向けました。
たしかに、昨日見つけたクローバーはとても嬉しかったし、
野原を歩いていると、ふわふわの綿毛やキラキラした小石を見つけることもある。
「じゃあ…僕は地面の冒険をたくさんするピヨ!」
ヒヨコくんはちょっぴり恥ずかしそうに言いながら、ピョンと軽やかに跳ねました。
「そうよ、ヒヨコくん!あなたの歩く道には、君だけの大切な冒険が待ってるわよ。」
ヒヨコママは、優しく見守りながら微笑みました。
その日からヒヨコくんは、空を見上げるよりも、地面にあるたくさんの宝物を探すことに夢中になりました。
柔らかな草の上を歩いたり、小さな虫の動きをじっと観察したり、新しい道を見つけたり…。
こうしてヒヨコくんは、地面での「冒険」の楽しさを知り、
空よりももっと好きなものを、毎日たくさん見つけていったのでした。
ヒヨコくんの気持ちの変化や、ヒヨコママのあたたかさがより伝わるようにしました。
どうでしょうか?
※タイトルのイラストは、空を飛ぶ鳥を見上げて涙がポロリとこぼれて悲しそうな表情をしているヒヨコくんです。ああ、可哀想なヒヨコくん涙