ある日の午後、ヒヨコ三兄弟はヒヨコパパの大きなベッドの上で遊んでいました。
ふかふかの布団はまるで雲の上みたいで、跳ねたり転がったり、みんな大はしゃぎです。
「ベッドって、ジャンプすると最高ピヨ!」
ヒヨコくんがぴょんぴょん跳ねながら言います。
「ふわふわで、わたがしみたいな気持ちよさピヨ〜…」
ぴもんくんはすでにお布団にくるまりながら、うっとりしています。
「ちょっとはしゃぎすぎじゃないピヨ?」
しっかり者のひよたくんが注意しますが、二人は聞く耳を持ちません。
しばらく遊んでいると、ふわぁ〜…と大きなあくびが。
気持ちよさに包まれて、三羽ともいつの間にかスヤスヤお昼寝を始めました。
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しばらくして、ヒヨコくんが「…んん?」と目を覚ましました。
隣には、かわいい寝顔のひよたくん。
「ひよたくん…、ぴもんくんは?」
キョロキョロと辺りを見回しますが、どこにも姿が見えません。
その時――
「うぅ…ぴ、ピヨ…助けてピヨ…」
かすかに聞こえる、ぴもんくんのうめき声。
ヒヨコくんは耳をすませて、音のする方へ向かいました。
「ひよたくん、起きるピヨ!なんだか大変なことになってるピヨ!」
「えっ…?なに、どうしたピヨ?」
ひよたくんも急いで目を覚まし、二羽で声のする方へ行くと――
なんと、ぴもんくんがベッドと壁の間に挟まって動けなくなっているではありませんか!
「ぴ、ぴもんくん!?どうしてそんなところにピヨ!?」
「お昼寝してたら、ゴロゴロ転がって…はまっちゃったピヨ〜…うぅ…」
ぴもんくんは両羽をバタバタさせていますが、どうにもこうにも抜け出せません。
「ボクたちで引っ張るピヨ!いくピヨよ、ひよたくん!」
「う、うん!せーのっ…!」
ぐいっ、ぐいっ…!
二羽で力を合わせて引っ張りますが、ぴもんくんは見事にフィットしていて、ちっとも動きません。
「こ、こりゃダメピヨ…!」
「どうしようピヨ…このままだとぴもんくんが壁の一部になっちゃうピヨ…!」
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そこでヒヨコくんはひらめきました。
「ベルちゃんとリンちゃんを呼ぶピヨ!みんなで引っ張れば、きっと抜けるピヨ!」
二羽は急いでベルちゃんとリンちゃんのところへ走ります。
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「ぴもんくんが挟まったピヨ!助けてほしいピヨ!」
「ええっ!?ぴもんくん、大丈夫なの!?」
ベルちゃんは目をまるくしました。
「ふふん、あたしに任せなさい。力ならあるんだから!」
リンちゃんは腕をぐるぐる回して気合十分です。
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3羽と1頭で再び挑戦です。
「いくピヨよ!せーのっ!!」
「ぬぬぬぬっ…!」
でも、ぴもんくんは相変わらず動きません。
「うーん、これはなかなかの難敵だね…」
ベルちゃんが首をかしげます。
「やっぱり、すーさんを呼ぶしかないピヨ…!」
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すぐにすーさんのところへ駆け込むヒヨコくん、ひよたくん、ベルちゃん、リンちゃん。
「ぴもんくんがベッドと壁に挟まったピヨ!」
「ぬぬっ!?それは大変ぞう!」
すーさんは麦ジュースを置き、すぐに駆けつけてくれました。
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ぴもんくんの姿を見ると、すーさんはにっこり微笑みました。
「大丈夫ぞう、ボクに任せるぞう!」
すーさんは大きなお鼻をベッドと壁の間にそっと差し込みます。
「それっ、すぽっ!」
なんと、まるでマジックのように、ぴもんくんがベッドと壁の間から見事に救出されたのです!
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「はぁ〜、助かったピヨ…すーさん、ありがとうピヨ!」
ぴもんくんはすーさんの大きなお鼻にしがみつきます。
「はっはっは!困ったときはいつでも呼ぶぞう!」
「すーさん、かっこよかったピヨ!」
ヒヨコくんがキラキラした目で言います。
「ふふ、さすがすーさんね!」
ベルちゃんも嬉しそう。
「まぁ、ボクたちが引っ張ったおかげもあるピヨ!」
ひよたくんがちょっと得意げに言うと、みんなで大笑いしました。
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こうして、ヒヨコ三兄弟の「ぴもんくん救出大作戦」は無事に成功!
今日もみんなで力を合わせれば、どんなピンチも乗り越えられることを実感したのでした。
おしまい。
※タイトルのイラストには、ベッドの横で寄り添っているヒヨコ三兄弟です。羽毛がフワフワして表情も柔らかくて優しい印象のイラストです。