[ひよこものがたり]ことばのおくりもの第55話「きれいに消える足あと」

ある春の日、アニマルランドの広場に

見慣れないヒヨコがやってきました。

いつもにこにこ、やさしい声で

「なかよくしようね」と言うそのヒヨコは、

みんなとすぐに仲良くなりました。

ヒヨコくんも、ぴもんくんも、ひよたくんも、

「新しいお友だちピヨ!」と嬉しそう。

ところがある日、

ちいさなすれ違いが起こりました。

遊ぶ約束の時間に少し遅れてしまっただけ。

でもそのヒヨコは、

何も言わず、次の日から来なくなってしまったのです。

「どうしたのかなピヨ…」

ひよたくんは心配しました。

しばらくすると、

また別の場所で、そのヒヨコは新しい仲間と

楽しそうに笑っていました。

でも――

同じことが、何度も何度も繰り返されました。

少し気に入らないことがあると、

説明もなく、話し合いもなく、

関係を“なかったこと”にしてしまう。

残された側には、

理由のわからない寂しさと、

小さな傷だけが残ります。

ヒヨコママは、静かに言いました。

「関係を大切にするっていうのはね、

気持ちのいい時だけ一緒にいることじゃないの」

「うまくいかない時に、

それでも向き合おうとすることなのよ」

ヒヨコくんは、少し考えてから言いました。

「簡単にいなくなる人は、

簡単に戻ってきて、

また同じことをするピヨ…」

ぴもんくんは、ぽつりとつぶやきました。

「それ、何回もだと…

心がつかれちゃうピヨ…」

ひよたくんはうなずきました。

「だからボクたちは、

ちゃんと話そうとしてくれる人を

大事にしたいピヨ」

その日からヒヨコたちは、

“去らないやさしさ”を大切にするようになりました。

きれいに消える足あとより、

雨の日も残る足あとを、信じるために。

📝 ことばのおくりもの

人間関係をすぐにリセットする人は、

「自分の気持ち」だけを守り、

「相手の心」を置き去りにしてしまうことがある。

一度なら事情があるかもしれない。

でも何度も何度も同じことが起きるなら、

それは偶然ではなく“その人のやり方”。

信頼は、

嫌なことがあっても話そうとする姿勢の中で育つ。

簡単に切れる縁より、

ゆっくりでも続こうとする関係を大切にしよう。

あなたの心を何度も置き去りにする人から、

距離を取ることは、

冷たさではなく、

自分を守るやさしさです。

※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)

はるのこうえんで、ヒヨコたちがあたらしいおともだちとあそんでるピヨ。
にこにこしてるけど、あしあとはすぐきえていくピヨ。
やさしいけど、ちょっぴりさみしいきもちもあるピヨ。

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