「ヒヨコくん！お風呂の時間よ！」と、今日もヒヨコママが呼びます。でも、ヒヨコくんはお気に入りのおもちゃ、500円玉柄のヨーヨーをくるくるさせるのに夢中です。「はーい、今行くピヨ」と生返事をするものの、全く動こうとしません。
しばらくして、ヒヨコママがまた声をかけます。「ヒヨコくん、早くお風呂に入りなさい！」
「わかったピヨ〜」と返事をしつつ、今度はぬいぐるみのヒヨぬいを高く放り投げてキャッチする遊びを始めてしまいました。
そこに、ひよたくんが通りかかります。「お兄ちゃん、さっきから呼ばれてるピヨ。早く行った方がいいピヨ」と、優等生らしく声をかけますが、ヒヨコくんは「だいじょうぶピヨ、まだ怒ってないピヨ」と余裕の表情です。
しかし、三度目の呼びかけでも動かないヒヨコくんに、ついにヒヨコママの声が少し厳しくなりました。「ヒヨコくん、何回言わせるの！さっさと行きなさい！」
ヒヨコくんは、ふと顔を上げて「あとちょっとだけピヨ〜」と答えますが、ヒヨコママの声色が明らかに変わったことに気づいて内心ヒヤリ。
そこへぴもんくんが通りがかります。「お兄ちゃん、フィッシュアーモンドもらったピヨ！」と嬉しそうに見せびらかします。
「フィッシュアーモンド！？どれどれピヨ！」と、お風呂そっちのけで兄弟たちと話し始めるヒヨコくん。
すると突然、ヒヨコママの大きな声が響きました。「ヒヨコくん！」
その瞬間、ヒヨコくんはびっくりしてヨーヨーをポトリと落とし、目をまん丸にします。「あ、あれ？そんなに怒らなくてもいいピヨ…」と、あたふたしながらも、ついに本気で怒られたことに気づきます。
今度こそ急いでお風呂場へ向かうヒヨコくん。てちてち、てちてち！足が小さいながらも驚きの速さです。「待っててピヨ！」と叫びながら廊下を駆け抜けていきます。
お風呂場に着いたヒヨコくんは、しょんぼりした顔で「ママ、ごめんピヨ…」と反省のひと言をつぶやきます。
ヒヨコママも「やっと来たわね」と少し笑顔を見せて、「ちゃんとお風呂に入って、すっきりしてきなさい」と優しく言いました。ヒヨコくんは、ほっとして「わかったピヨ！」と元気よく返事をし、さっそく湯船にざぶん！
湯気がほわほわ立ち上がる中、ヒヨコくんは「やっぱりお風呂って気持ちいいピヨ〜」とリラックス。すると、お風呂のおもちゃに目をつけて、今度は湯船でバシャバシャと遊び始めました。
お風呂から上がったヒヨコくんは、ぽかぽかの体で「次は絶対すぐ来るピヨ！」と胸を張りましたが、それを聞いていたひよたくんは「どうかなピヨ…？」と小声でつぶやき、ぴもんくんはお菓子を頬張りながら「また同じことするピヨ」と笑っています。
その夜、ヒヨコママは疲れた様子でヒヨコパパに言いました。「ヒヨコくん、もう少し素直にならないかしらねえ…」。
ヒヨコパパは新聞を読みながら「まあ、男の子はそんなもんだ」と笑って答えました。
果たしてヒヨコくんは次回から素直にお風呂に入るのでしょうか？それともまたママを困らせてしまうのでしょうか？
ヒヨコくんたちに声がついている音声版はこちら。
※タイトルのイラストは、ヒヨコママにお風呂に入りなさいと何度も言われても、遊ぶのに夢中で言うことを聞かないヒヨコくんのイラストです。イラストでは積み木を積んで遊んでいますね。
