森のはずれ、夕焼け色の空の下。
ヒヨコ三兄弟は、川べりのあたたかい石の上に、ぴとっと並んで座っていました。
「ボク、大きくなったら空みたいに広いところを旅するピヨ!」
ヒヨコくんは、短い羽を一生懸命のばして、えいっと跳ねます。
「ボクはね、おなかいっぱいになるごはんを、みんなに作るピヨ」
ぴもんくんは、にこにこしながらおなかをさすりました。
「ボクは…みんなが安心して帰ってこられる場所を作りたいピヨ」
ひよたくんは、スタイをちょんと押さえて、静かに言いました。
その少し後ろで、同じように石に座っていたのがチュン兄ちゃんでした。
体は少しだけ大きいけれど、羽も声も、れっきとしたヒヨコです。
「みんなの話、いいなぁピヨ」
チュン兄ちゃんは、照れたようにほっぺをぽりぽりかきました。
「ボクもね、昔はやりたいこと、いっぱいあったピヨ」
三兄弟が、くるっと振り返ります。
「でも、大きくなるにつれてね、
“それはやめたほうがいいピヨ”とか
“普通はこうするピヨ”って言葉が、
いつのまにか羽に絡まってきたピヨ」
チュン兄ちゃんは、自分の羽をぎゅっと抱きしめました。
「最初は細い糸みたいなのに、
気づいたら動きにくくなってて、
“失敗しない道”ばかり選ぶようになっちゃったピヨ」
「それ…こわいピヨ」
ひよたくんが小さくつぶやきます。
「うん、ちょっとこわいピヨ」
チュン兄ちゃんはうなずきました。
「だからね、ボクはみんなに、
そんなふうになってほしくないピヨ」
ヒヨコくんは、真剣な顔で聞いています。
ぴもんくんも、いつもより静かです。
「誰かの価値観で生きるとね、
自分の“好き”が、どこかへ行っちゃうピヨ。
でも、自分で選んだ道なら、
転んでも“ボクが決めた”って胸を張れるピヨ」
夕焼けの光が、ヒヨコたちのほっぺをやさしく染めます。
「夢はね、すぐ叶わなくてもいいピヨ」
チュン兄ちゃんは、三兄弟と同じ目線で、ちょこんと座り直しました。
「小さくても、忘れなければ、
ちゃんと羽の中で育つピヨ」
三兄弟は、ぎゅっと胸を張りました。
まだ小さな羽だけれど、
自分の心を信じようとする力が、確かにそこにありました。
📝ことばのおくりもの
大人になるって、
夢をしまうことじゃありません。
夢を「自分のもの」として
抱え続ける強さを持つことです。
世の中の常識や誰かの声が
正しく聞こえる日もあります。
でも、最後に道を選ぶのは、あなた。
自分の心が「これが好き」と言ったなら、
その声を大切にしてあげてください。
それは、あなたにしか守れない宝物です。

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