ある日の午後。
森のひろばでヒヨコくんは、腕を組んでムスッとしていました。
「もうやらないピヨ…」
ぴもんくんが心配そうに近づきます。
「どうしたピヨ?さっきのジャンプ台、うまくいかなかったピヨ?」
実はヒヨコくん、さっき高いジャンプ台に挑戦して転んでしまったのです。
「だって、すーさんが“絶対できるぞう!”って言ったピヨ!
だからやったのに、痛いし失敗したし…ボクのせいじゃないピヨ!」
ぴもんくんは少し考えてから言いました。
「でもヒヨコくん、自分で“やる”って言ったピヨ?」
ヒヨコくんはハッとします。
「……言ったピヨ」
そこへ、ひよたくんが静かに来ました。スタイがゆらゆら。
「ボク、見てたピヨ。
ヒヨコくん、ちょっと怖そうだったしイヤイヤだったピヨ。
でも“みんなが言うなら…”って顔してたピヨ」
ヒヨコくんの胸がチクンとしました。
(ほんとは、ちょっとイヤだったピヨ…
でも“やめる”って言うのがカッコ悪い気がしたピヨ…)
そのとき、遠くからヒヨコママの声。
「ヒヨコくん、転んだのは誰だったの?」
「……ボクピヨ」
「決めたのは?」
「……ボクピヨ」
ヒヨコくんの目がじんわりしてきました。
「でもママ…みんなが“やれ”って言ったピヨ」
ヒヨコママは優しく言いました。
「“言われた”と“決めた”は違うの。
あなたの体も、時間も、人生も、あなたのものよ」
その夜、ヒヨコくんはふたりに言いました。
「これからは、ちゃんと考えるピヨ。
イヤな時はイヤって言うピヨ。
やるなら“ボクがやる”って決めてからやるピヨ」
ぴもんくんがにっこり。
「それなら失敗しても、ちゃんと前に進めるピヨ」
ひよたくんもうなずきました。
「人のせいにしなくてすむピヨ」
ヒヨコくんは空を見上げました。
少しだけ大人になった気がしました。
「ボクの人生は、ボクが歩くピヨ」
📝ことばのおくりもの
「言われたからやった」は、心を守る言い訳になることがあります。
でもその言葉を重ねるたびに、
自分の人生のハンドルを、誰かに渡してしまうことになります。
失敗はつらい。
でも「自分で選んだ失敗」は、
悔しさの中に“力”が残ります。
たとえ相手が親でも、先生でも、上司でも——
その人を心から尊敬していないのなら、
その言葉は“命令”ではなく“意見”です。
最後に決めるのは、あなた。
自分で選ぶ人は、転んでも強い。
人のせいにしない人は、ゆっくりでも前に進める。
あなたの人生の責任者は、
いつだって、あなた自身です。

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