[ひよこものがたり]ことばのおくりもの第68話「ボクが決めるピヨ」

ある日の午後。

森のひろばでヒヨコくんは、腕を組んでムスッとしていました。

「もうやらないピヨ…」

ぴもんくんが心配そうに近づきます。

「どうしたピヨ?さっきのジャンプ台、うまくいかなかったピヨ?」

実はヒヨコくん、さっき高いジャンプ台に挑戦して転んでしまったのです。

「だって、すーさんが“絶対できるぞう!”って言ったピヨ!

だからやったのに、痛いし失敗したし…ボクのせいじゃないピヨ!」

ぴもんくんは少し考えてから言いました。

「でもヒヨコくん、自分で“やる”って言ったピヨ?」

ヒヨコくんはハッとします。

「……言ったピヨ」

そこへ、ひよたくんが静かに来ました。スタイがゆらゆら。

「ボク、見てたピヨ。

ヒヨコくん、ちょっと怖そうだったしイヤイヤだったピヨ。

でも“みんなが言うなら…”って顔してたピヨ」

ヒヨコくんの胸がチクンとしました。

(ほんとは、ちょっとイヤだったピヨ…

でも“やめる”って言うのがカッコ悪い気がしたピヨ…)

そのとき、遠くからヒヨコママの声。

「ヒヨコくん、転んだのは誰だったの?」

「……ボクピヨ」

「決めたのは?」

「……ボクピヨ」

ヒヨコくんの目がじんわりしてきました。

「でもママ…みんなが“やれ”って言ったピヨ」

ヒヨコママは優しく言いました。

「“言われた”と“決めた”は違うの。

あなたの体も、時間も、人生も、あなたのものよ」

その夜、ヒヨコくんはふたりに言いました。

「これからは、ちゃんと考えるピヨ。

イヤな時はイヤって言うピヨ。

やるなら“ボクがやる”って決めてからやるピヨ」

ぴもんくんがにっこり。

「それなら失敗しても、ちゃんと前に進めるピヨ」

ひよたくんもうなずきました。

「人のせいにしなくてすむピヨ」

ヒヨコくんは空を見上げました。

少しだけ大人になった気がしました。

「ボクの人生は、ボクが歩くピヨ」

📝ことばのおくりもの

「言われたからやった」は、心を守る言い訳になることがあります。

でもその言葉を重ねるたびに、

自分の人生のハンドルを、誰かに渡してしまうことになります。

失敗はつらい。

でも「自分で選んだ失敗」は、

悔しさの中に“力”が残ります。

たとえ相手が親でも、先生でも、上司でも——

その人を心から尊敬していないのなら、

その言葉は“命令”ではなく“意見”です。

最後に決めるのは、あなた。

自分で選ぶ人は、転んでも強い。

人のせいにしない人は、ゆっくりでも前に進める。

あなたの人生の責任者は、

いつだって、あなた自身です。

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