ある日の午後。
アニマルランドの森は、やわらかな光に包まれていました。
ヒヨコくん、ぴもんくん、ひよたくんは、いつものように並んでおやつを食べながら、おしゃべりをしていました。
「ボクね、さっきピヨちゃんに『ボクはぜんぜん怖くないピヨ』って言ったピヨ」
ヒヨコくんは、ちょっと得意げに胸を張ります。
「でも……さっき雷なってたとき、ヒヨコくん、羽ぷるぷるしてたぴよ」
ぴもんくんが、フィッシュアーモンドをかじりながら、ぽつり。
ヒヨコくんは、はっとして、目をそらしました。
「……かっこよく見られたかったピヨ」
ひよたくんは、少し考えてから、やさしく言いました。
「それ、うそだけど、悪いうそじゃないと思うピヨ。怖いって言ったら、弱く見えちゃうって思ったんだよね」
ヒヨコくんは、小さくうなずきました。
「うんピヨ。ほんとは、こわかったピヨ」
しばらく沈黙が流れました。
すると、ひよたくんが、にこっと笑って言いました。
「でもね、見栄を張っちゃったことを、そのままにしなくてもいいピヨ。」
「どういうことピヨ?」
「『怖くない』って言ったなら、本当に少しずつ怖さに向き合えるように頑張ればいいピヨ。見栄でついたうそでも、そのうそに追いつこうと努力したら、それは未来の自分への約束になるピヨ。」
ヒヨコくんは、目をぱちぱちさせました。
「未来のボクへの約束……ピヨ?」
「そうピヨ。最初はうそだったことも、一生懸命頑張って本当にできるようになったら、もううそじゃなくなるピヨ。」
ヒヨコくんは、少し考えてから、照れくさそうに笑いました。
「じゃあボク、今度また雷が鳴ったら、少しだけでも逃げないで頑張ってみるピヨ!」
「その気持ちがあれば、きっと大丈夫ぴよ。」
ぴもんくんが、にっこり笑いました。
「ボクもあるぴよ。」
今度は、ぴもんくんが言いました。
「ほんとはもうお腹いっぱいなのに、『まだ食べられるぴよ』って言ったこと。」
三羽は、顔を見合わせて、くすっと笑いました。
「アニマルって、うそ、ついちゃうものだよねピヨ。」
ひよたくんが、空を見上げながら言います。
「強く見せたかったり、守りたかったり……。」
ヒヨコくんは、少し真剣な顔になりました。
「でもさ、だからって、信じるのをやめるのは、さみしいピヨ。」
ぴもんくんは、大きくうなずきます。
「うそを知ってても、信じたいって思える相手がいるの、大事ぴよ。」
そのとき、森を渡る風が、三羽の羽をやさしく揺らしました。
完璧じゃなくても、少し格好悪くても。
見栄を張ってしまうことがあっても、その見栄に追いつこうと一歩ずつ努力すること。
そして、それを見守ってくれる誰かがいること。
そんな毎日が、少しずつ本当の自分を育てていくのかもしれません。
三羽は、何も言わずに、そっと並び直しました。
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📝ことばのおくりもの
人は、うそをついてしまう。
それは、弱さでも、ずるさでもなく、
「大切にしたい何か」がある証かもしれません。
だからこそ、
うそを知ったうえで信じることは、
目を閉じることではなく、
相手ごと受け取ろうとする勇気。
信頼は、完璧な正直さの上ではなく、
不完全さを許し合う場所に、そっと育ちます。
※アイキャッチの説明(視覚障害者用代替テキスト)
イラストの説明(視覚障害者向け・簡潔)
森の中で、ヒヨコ三兄弟が花に囲まれて仲良くおやつを食べています。ヒヨコくんは赤いスカーフ、ぴもんくんは青い魚のポーチ、ひよたくんはピンクの水玉スタイを身につけ、穏やかに笑顔を向け合っています。頭上には青い小鳥が木の枝にとまり、「ほんとうの色で、そばにいる」というタイトルが大きく描かれた、あたたかく優しい雰囲気のイラストです。

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