[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第17話「心を満たす宝もの」

ひよこものがたり

ある日のこと。

ヒヨコ三兄弟は、森の中を探検していました。すると、宝箱のような形をしたミミックくんが、木の根元で何やら深いため息をついていました。

「どうしたピヨ?」とひよたくんが声をかけます。

「実はね……誰かがボクの宝物を奪っていってしまったんだ。お金やきれいな石をいっぱい入れておいたのに、空っぽになってしまったんだ。」

ミミックくんはしょんぼり。

ヒヨコくんは胸を張って言いました。

「大丈夫ピヨ!また宝物を探しに行けばいいんだピヨ!」

けれど、ぴもんくんは首をかしげます。

「でも、宝物を見つけても、また誰かに奪われたらどうするピヨ?」

その言葉に、ミミックくんはますます悲しい顔になりました。

すると、ひよたくんがやさしく微笑みました。

「ねえ、宝物って、お金やきれいな石だけじゃないと思うピヨ。ボクたちが教えてあげられることだって宝物になるピヨ」

「教えてあげる?」とミミックくんは首をかしげます。

「うん。たとえば、お金をどう大切に使うかとか、自分で集めたものをどう守るかとか……そういう知恵は、奪われないピヨ」

ヒヨコくんも元気よくうなずきます。

「そうピヨ!学んだことは心の中にずっと残るピヨ!」

ミミックくんの目が少し輝きました。

「なるほど……奪われない宝物は“知恵”や“学び”なんだね」

その日から、ミミックくんはヒヨコ三兄弟にいろんなことを教わりながら、自分の力で森の実を集めたり、工夫して暮らすようになりました。宝箱の中には、少しずつ新しい宝物が増えていきました。

でも何よりも、ミミックくんの心そのものが満たされていったのです。

📝ことばのおくりもの

奪った財産は、一時の安らぎにしかなりません。

けれど、誰かから授かった学びや知恵は、心を支え続け、やがて自らを満たす力になります。

ほんとうの豊かさとは、奪うことで得られるものではなく、学び続ける心から育まれるのです。

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