[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第28話「小さな羽への祈り」

ひよこものがたり

ある日の夜、ヒヨコママは、窓の外を見つめながら、ゆっくりとお茶を飲んでいました。

空には星がまたたき、森の奥では虫たちの声が響いています。

そのころ、ヒヨコ三兄弟は部屋の中でワイワイ。

ヒヨコくんは冒険の本を広げて、「ボク、大きくなったら世界を旅するピヨ!」と元気いっぱい。

ぴもんくんは、おいしいお菓子の絵を描きながら、「ボクはね、お菓子屋さんになるピヨ〜!」とほっこり。

ひよたくんは二人を見て、「どんな夢でも、ボク、応援するピヨ」とにっこり笑いました。

その声を聞きながら、ヒヨコママはそっと胸の前で羽を組みました。

――どうか、この子たちが悲しみに沈む日がありませんように。

――どうか、苦しみや孤独に押しつぶされることがありませんように。

ママは知っていました。

人生は、いつも楽しいことばかりじゃないということを。

夢や希望を持つことは素晴らしいけれど、それ以上に、「傷つかずに生きていけること」が、どれほど尊いかを。

夜がふけ、三兄弟がすやすやと眠るころ、ママはそっと毛布をかけて言いました。

「幸せになってほしいなんて、きっとどの親も思うわ。

でもね……それよりも、悲しみや不運が、あなたたちに降りかからないことを、私はいちばんに願うの。」

月明かりがやさしく差し込み、三つの小さな羽を照らしました。

ヒヨコママの祈りは、静かに夜空へと溶けていきました。

📝ことばのおくりもの

親の願いは、子が「幸せになること」よりも、「不幸にならないこと」。

それは、幸せは自分でつかめるけれど、不運だけは防いでやりたいという、親の深い愛のかたち。

やさしい羽の陰には、いつも静かな祈りがあるのです。

タイトルとURLをコピーしました