ある日、アニマルランドの森は、ぽかぽかと春の光で包まれていました。
ヒヨコ三兄弟は広場に集まり、お友達といっしょに楽しい一日を過ごしていました。
「ボク、木登り競争するピヨ!」と、ヒヨコくんが元気いっぱいに声をあげます。
ぴもんくんは木の下でおやつを広げ、「ボクは応援しながらフィッシュアーモンドを食べるピヨ」とのんびり。
そしてひよたくんは、小さな子たちの集まりを見つけました。
森のはしっこでは、まだ小さなヒヨコたちが輪になって困っている様子です。
「おにごっこしたいけど、ルールがむずかしいピヨ〜」
「走ったら転んじゃったピヨ……」
ひよたくんはすぐに駆け寄って、やさしく声をかけました。
「だいじょうぶピヨ。ゆっくりでいいピヨ。ボクが教えてあげるピヨ。」
ひよたくんは、落ちていた小枝を拾って地面に線を引きながら、
「ここが“おに”のスタートラインで、ここをタッチしたら交代ピヨ。」
「転んでも大丈夫ピヨ。みんなで助け合えば楽しいピヨ。」
と、ひとつひとつていねいに説明していきます。
小さなヒヨコたちは、最初はモジモジしていましたが、
ひよたくんのゆっくりした話し方とやさしい笑顔に安心して、だんだん笑顔が戻ってきました。
「わかったピヨ!」「ボクもやってみるピヨ!」
みんなが元気に走り出すと、ひよたくんの胸がぽかぽかと温かくなりました。
その様子を、少し離れた場所で見ていたヒヨコママが、
穏やかな目でそっとつぶやきました。
「ひよたくん……あなた、まるで先生みたいね。」
その言葉が、ひよたくんの心の中に、あたたかな光となって広がりました。
──“先生”って、きっとこういうことなんだ。
誰かが困っているときに、そっと手を差しのべて、
できたときには「すごいね」と笑ってあげること。
それが、ひよたくんにとっての“先生”の姿でした。
その日の夜。
お風呂あがりにタオルを巻いたひよたくんは、ヒヨコママに言いました。
「ママ、ボクね……いつか小さな子たちにやさしく教えられる先生になりたいピヨ。」
ヒヨコママは、にっこりと微笑んで、ひよたくんの頭をやさしくなでました。
「ひよたくんなら、きっとなれるわ。だってあなたは、もうみんなの心をあたためる先生みたいだもの。」
それからのひよたくんは、毎日のように小さな子たちに絵本を読んであげたり、
ピヨちゃんに文字を教えたり、森の中で自然のことを話したりするようになりました。
みんなの笑顔を見るたびに、ひよたくんの夢は少しずつ大きくなっていったのです。
「誰かの役に立てるボクでいたいピヨ。」
その言葉は、今もひよたくんの胸の奥で、静かに光り続けています。
おしまい

※タイトルのイラストの説明。
ひよたくんが、小さなヒヨコたちに鬼ごっこを教えているイラスト。ちっちゃなヒヨコたちに優しく教えてあげています。イラストにはひよたくんの夢という文字が書かれています。
