すーさんはいつもみんなをを見て思っていました。
「毛がふわふわで、ドライヤーで乾かしてる姿、かっこいいぞう。」
自分はツルツルの肌だから、ドライヤーを使う必要なんてない。
それでも、一度でいいからあの風を体験してみたいと、密かに憧れていました。
ある日、みんなが昼寝している隙を見計らって、すーさんはついに行動を起こしました。
「よし、誰もいないぞう。やるなら今だぞう!」
すーさんは隠してあったドライヤーをそっと取り出し、電源を入れました。
「おおっ!これがドライヤーの風かぞう!」
風がびゅーっと出てきて、すーさんは大喜び。鼻で風を受けて、「ふーふーっ!」と楽しんでいました。
しかし、すーさんの鼻は長い。調子に乗って「もっと強くぞう!」と風力を最大にした瞬間、とんでもないことが起こりました。
強烈な風に鼻が「びよーん」と揺れ、乾かすどころか、帽子やタオルが飛び散ってしまいました。
さらに、風が後ろに跳ね返り、壁にかかっていた絵が「バタン!」と落ちる始末。
「や、やばいぞう!」
すーさんが慌ててドライヤーを止めた時には、部屋はもう大騒ぎです。
その音で目を覚ましたヒヨコ三兄弟が、あわてて部屋に駆けつけました。
ヒヨコくんが真っ先に叫びます。
「すーさん、何してるピヨ!?」
ぴもんくんは床に散らばったフィッシュアーモンドを見つけて言いました。
「このお菓子、どうなったピヨ!?全部飛ばされてるピヨ!」
ひよたくんは落ち着いて周囲を見渡しながら、「すーさん、これは一体…?」と問い詰めます。
そこに、リンちゃんとよいちゃんも駆けつけてきました。
リンちゃんは驚いた表情で言います。
「すーさん、部屋がめちゃくちゃ!どうしたの?」
よいちゃんは心配そうに、飛ばされたタオルを拾いながら言いました。
「すーさん、大丈夫?何があったの?」
すーさんは鼻をぴくぴく動かしながら、苦笑いで答えました。
「いや、これはその…ドライヤーの練習ぞう…」
ヒヨコ三兄弟は顔を見合わせて、一斉にため息をつきました。
ヒヨコくんが言います。
「すーさん、毛がないのにドライヤーなんて意味ないピヨ!」
ぴもんくんも続けて、
「それよりフィッシュアーモンドが飛んでった方がショックピヨ…」
リンちゃんは呆れながらも優しく言いました。
「すーさん、ドライヤーじゃなくても、帽子をかぶってる方が素敵だよ。」
よいちゃんも微笑んで言いました。
「そうそう。すーさんはいつも帽子がお似合いだと思ってるよ。」
すーさんは鼻をぴこぴこと動かしながら、「そうだったぞう…ドライヤーはみんなのものだぞう」としょんぼり。
でも、懲りずにこう言いました。
「次はもっと静かに試すぞう!」
その一言に、みんなは「それがすーさんらしいね」と笑い合い、散らかった部屋の片付けを始めました。
こうして、すーさんの「ドライヤー事件」は無事(?)に幕を下ろしたのでした。
※タイトルのイラストはすーさんがドライヤーをかけているところです。髪の毛が生えているのはすーさんの儚い妄想ですね。