むかしむかし、アニマルランドに「ピヨ雪姫」と呼ばれる、とってもかわいいヒヨコのお姫さまがいました。
雪のようにふわふわの羽、ルビーのように赤いほっぺ、そしてつぶらな黒い瞳。
ピヨ雪姫を見たみんなは、思わず「なんてかわいいんだピヨ!」と声をそろえてしまうほどでした。
けれども、森の奥に住む魔女――このときはリンちゃんが魔女の役になりきっていたのですが――は、ピヨ雪姫の美しさをねたんでいました。
リンちゃん演じる魔女は、魔法の鏡にたずねます。
「鏡よ鏡、この国でいちばんかわいいのはだれ?」
すると鏡は答えました。
「それはもちろん、ピヨ雪姫ですピヨ!」
その答えに怒った魔女は、ピヨ雪姫を森へ追いやってしまいました。
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ピヨ雪姫がたどり着いたのは、森の奥にある小さなおうち。
そこにはヒヨコ三兄弟――ヒヨコくん、ぴもんくん、ひよたくん――が仲良く暮らしていました。
三兄弟の中で最初に気づいたのはヒヨコくんでした。
「おや? かわいいお姫さまが来たピヨ!」と目をきらきらさせます。
続いてぴもんくんが、手に持っていたフィッシュアーモンドを差し出しながら言いました。
「おなかすいてる? フィッシュアーモンド分けてあげるピヨ!」
そしてひよたくんは優しく微笑み、
「ここで一緒に暮らしましょう。ボクたちが守るピヨ!」
と声をかけました。
ピヨ雪姫はすっかり安心して、三兄弟と楽しい毎日を過ごしました。
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しかし、魔女はあきらめていませんでした。
リンちゃんが演じる魔女は毒リンゴを手に、再びピヨ雪姫に近づきます。
「まぁまぁ、美味しいリンゴだよ。ひとくちどうぞ」
ピヨ雪姫はそのリンゴを食べてしまい、ぱたりと倒れてしまいました。
それを見たヒヨコくんが、
「大変だピヨーーー!!」
と大慌て。
ぴもんくんは心配そうにリンゴを見つめながら、
「リンゴ…ボクが食べちゃおうかピヨ…」
と言い出しますが、
ひよたくんが必死に止めました。
「待って! それは毒リンゴですピヨ!」
三兄弟は力のかぎりピヨ雪姫を助けようとしましたが、どうしても目を覚ましません。
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そのとき、勇気あるプリンセス・ベルちゃんと、いつも元気いっぱいのエルちゃんが駆けつけてくれました。
森で話を聞きつけて、急いで来てくれたのです。
ベルちゃんはピヨ雪姫の手をぎゅっと握りながら呼びかけました。
「ピヨ雪姫、目を覚まして!」
エルちゃんも優しく頬にキスをしながら、
「わたしたちの友情パワーで、きっと助けられるよ!」
と励まします。
するとなんと、ピヨ雪姫はぱちっと目を開けました!

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「ふぁ、よく寝たピヨ。なんだかよくわからないけどありがとピヨ。助かったピヨ!」
とピヨ雪姫は眠そうに言いました。
こうしてピヨ雪姫は三兄弟やお友だちに囲まれて、再び幸せな暮らしを送れるようになったのです。
魔女を演じていたリンちゃんも反省し、もう悪いことはしなくなったそうです。
めでたし、めでたし。
