[ひよこものがたり]言葉の贈り物編第10話「空高く舞うつもりが」

ひよこものがたり

ある日の午後、ヒヨコくんは庭で遊んでいました。

木の枝を使って作った自作のパチンコを手に、的を次々に撃ち抜いていきます。

「見て見てピヨ! ボク、すごく上手だよ!」

的に命中するたびに、ヒヨコくんは胸を張って得意気。

ぴもんくんも拍手をして「ほんとにすごいピヨ~。ボクにはとてもできないピヨ」と感心します。

ひよたくんも「お兄ちゃん、練習した成果だねピヨ」と微笑みました。

ところが、そこにピヨちゃんがやってきて、同じパチンコを手にしました。

「ちょっと貸してもらえる? わたしもやってみるピヨ」

ピヨちゃんが狙いを定めると、ヒヨコくんよりもずっと遠くの小さな葉っぱを、見事に一発で撃ち抜いてしまいました。

「えっ!? ボクより遠くて小さいのに…当たっちゃったピヨ!?」

ヒヨコくんは目を丸くしました。

ピヨちゃんはにっこり笑って「うまい人はたくさんいるものよ。だからこそ、もっと練習したくなるんだピヨ」と言いました。

ヒヨコくんは少ししょんぼりしながらも、やがてにっこり笑いました。

「なるほどピヨ! ボク、まだまだ伸びしろいっぱいだピヨ!」

そうして、また一生懸命に練習を始めたのでした。

ことばのおくりもの

自分の力に酔うと、そこで歩みは止まる。

上には上がいることを知れば、前へ進む力になる。

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